2012年5月14日月曜日

TWO LONE SWORDSMEN 「Wrong Meetings」


アンドリュー・ウェザオールとキース・テニスウッドの極悪タッグによる、両方まとめて五枚目。どちらも2007年作品。Warpから離れて、ウェザオールの自己レーベルであるRotters Golf Clubからのリリース。
正確には2007年五月に限定レコードリリースされたDisk-1と、同年六月に続編的内容で一般リリースされたDisk-2をくっ付けて二枚組仕様にした日本限定の編集盤。
五枚目のアルバムを名乗っても問題なかろう?

前作ではドラム=ゲスト、その他の楽器=ほぼテニスウッドにゲスト、ヴォーカル=ウェザオール、なんて編成で挑むエレクトロ+ポストパンクだった。おさらい。
で、本作は……そこにもう一枚、強烈なカードを加えてきた。

ロカビリーである。
そうそう、エルヴィスで有名なロックとヒルビリーを折衷したアレ。リーゼント、リーゼント。

現代ではパンクと融合した〝サイコビリー〟なるジャンルで現存が確認されている程度の、ほぼ遺物ジャンルに手を染めてきたのでびっくり。(別に今は演る人がごくごく少なくなったって、音源やジャンル自体はなくならないんだからな!)
なお、ウェザオールは「ロカビリーは常にオレの心の中にあった」などと供述しており、音楽性を落ち着かせない彼らがいづれこの札を切るのは必定だった模様。テニスウッドが納得して普段通り共闘しているかどうかは……別問題かも。

もちろんエレクトロ+ポストパンク+ロカビリーのミクスチャーサウンドを全編通して演っている訳ではない。
基本線は前作の延長であるエレクトロ+ポストパンクをややポストパンク寄りで。ダルなロック風トラックは早朝、ワーキングクラスの男が気だるそうに出勤する空気をむんむん漂わせる。Disk-1のM-08ではへろへろのバラードまで披露しちゃう。
ロカビリー色はやや電化気味で、唐突に曲順へと紛れ込ませる、と。
その時のウェザオールの生き生きした歌声はどうだ。オリジナルパンクス上がりなので巧いヴォーカルではないのだが、ココまで張り切って演られると、聴いているこちらまで楽しくなってしまう。「テクノを演っていたウェザオールとは何だったのか」と問われても、「こっちも楽しくて面白いので問題ナシ!」と爽やかな笑みを呈して言い切れるくらい。

そろそろ五十歳になるウェザオール、相変わらず曝け出している。
次は……そうだな、高速エレクトロビートのサイコビリーでも演ってくんないかなあ。テニスウッドは嫌がりそうだけど。

Disk-1
M-01 Patient Saints
M-02 Rattlesnake Daddy
M-03 No Girl In My Plan
M-04 Puritan Fist
M-05 Never More (Than Just Enough)
M-06 Wrong Meeting
M-07 Evangeline
M-08 Work At Night
M-09 Get Out Of My Kingdon
Disk-2
M-01 Mountain Man
M-02 Shack 54
M-03 Glories Yesterday
M-04 Blue Flames
M-05 Ghosts Of Dragstrip Hollow
M-06 Born Bad / Born Beautiful
M-07 In The Shadow Of A Dark Heart Sun
M-08 Hey Deborah Anne
M-09 If You Lose Control Of Yourself (You Give It To Somebody Else)
M-10 Born Bad / Born Beautiful (Dub Of Death) (Bonus Track)
M-11 Wrong Meeting (T-Bar Remix) (Bonus Track)


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