ペンシルヴァニアのエモい奴、キース・ケニフの当名義三枚目。2008年作。
今回もやはりエモい。全くぶれていない。
自身が弾く、ピアノやアコ/エレギターを主音として叙情的に用い、幻想的な音色のシンセでそれを引き立たせ、BPM100前後のゆったりとしたビートを這わせる。きちんと音楽教育を受けた人だけあって、メロディを最重要視する、誠実で隙のない安定感が持ち味。アンビエントトラックも得手。
口が悪い人は「毎回金太郎飴で芸がない」とほざくだろうが、創り手側が一生賭けて守り抜きたい音を守って何が悪いのか。同じ作風を貫き通すのがどんなに難しいことか。
ちょっとでもぶれたら鬼の首を獲ったようにぎゃーぎゃー喚き散らすクセに、もっと彼のような音楽的に保守側のアーティストをきちんと評価すべきだ。
と言っても冷遇されている訳ではない。普遍的な音世界の持ち主だけに、きっかけさえあれば一気にこの界隈のトップランナーになれる位置まで着けている。
だがそこから一歩が踏み出せない。米国でマイナージャンルのエレクトロニカを演っている以上、致し方ない壁なのかも知れない。音楽性からして重複する部分もあるポストロックがあんなにも普及しているのに、おかしな話である。
けど、本人にその気がなさそうなので、無理せず短めのリリーススパンで頑張って欲しい。個人作業なニカアーティストは量産してナンボ!
本名を含む数名義を音世界が丸被りせぬよう、また自分の有す音世界を乱さぬよう使い分けるケニフは叙情派ニカ(略してジョジョニカ……)きっての職人だ。
そんな他名義の一つであるMINT JULEPのパートナーでもあり、奥方でもあるホリーさんに捧げられたのがM-10。うーん、(愛妻家って)エモい。
M-01 Hope Valley Hill
M-02 Come With Nothings
M-03 Glimpse
M-04 Fourteen Drawings
M-05 Backlight
M-06 The Red Truth
M-07 A Mountain Of Ice
M-08 Mima
M-09 Shoulder To Hand
M-10 Hollie
M-11 Stasis (Bonus Track For Japan)
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