2011年5月26日木曜日

AMON TOBIN 「Out From Out Where」


ブラジル生まれのイギリス育ち、Ninja Tuneの番長、AMON TOBINによる2002年作品。本名名義では四枚目だが、変名を加えると五枚目のオリジナルアルバム。

この人はおかしい。
毎回毎回、楽曲を偏執狂の如く“創り”込む。だが、音自体はそれほど“作り”込まない。
矛盾してそうな発言なので分かりやすく書くと、各音のパーツを籠もらせたり、ぶつ切ったり、刻んだり、すり減らしたり、引きずったりしない。それらをスピーカーのどこから出るか配置決めする程度で、全くと言っていいほど加工しないのだ。
それで、とにかく音を重ねる、重ねる、重ねる……。一曲につき六音以上は優に使う。
音数が多いため、わざわざ加工して使わなくとも聴き手の耳に変化を与えられるのだ。加工するタイプのアーティストは自ずと音数を切り詰めた、シンプルなトラックを標榜するタイプだ。
どっちが一曲における生産性が高いか、すぐに分かる。

それでもトビンは音を盛り込みまくる。本当におかしい。

AMON TOBIN名義の二枚目まではジャジーで時折、彼のルーツであるブラジリアンビートを咬ませたドラムンベース的な音作りをしていた。言ってみれば非常にNinja Tuneらしい作風だ。
そこで三枚目「Supermodified」では方向性をじわりと変えた。本作の雛形となるサイバーブレイクビーツ路線に。
そうと決まれば早速、トビンはBPMを落としてドラムンベース色を減らしてみせた。
そうなるとAMON TOBINの色って何だ? と聴き手に取られても仕方ない。
だが彼も然る者。四作目に当たる本作で違和感なくサイバーブレイクビーツ路線が開花するよう、三枚目まではジャジーな色を濃い目に残していたのだ。で、本作ではジャズ色を薄め、サイバー色を前面に押し出す、と。
見事な軸のすり替えである。この用意周到さ、そうとしか思えない。
そもそもUKブレイクビーツ界において、ここまで音数を使うアーティストも珍しいので、その時点でほぼAMON TOBINの独自性なのだが。

トビンのサイバー路線は本作で決定付いた。だがやはり彼は然る者。以降、再び路線を変更する。
案の定、挿げ変えたサイバー色を弱め、新機軸に移る布石を打つ。
やはりこの人はおかしい。只者ではないという意味でおかしい。

M-01 Back From Space
M-02 Verbal
M-03 Chronic Tronic
M-04 Searchers
M-05 Hey Blondie
M-06 Rosies
M-07 Cosmo Retro Intro Outro
M-08 Triple Science
M-09 El Wraith
M-10 Proper Hoodidge
M-11 Mighty Micro People


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