2011年5月30日月曜日

NADJA 「Radiance Of Shadows」


カナダのマルチプレイヤー、エイダン・ベイカーとその妻、リア・バッカレフによるインストスラッジドローンデュオの2007年作品。たぶんフルアルバム八枚目。
NADJAというかベイカーは驚くほど多作家なので、この八枚目という数も怪しいもんだ。

まず各曲のタイトルから察しの付く通り、本作は核爆弾の脅威について音で語られたアルバムである。
彼ら特有の荒涼と渇き切り、幾層にも重ねられたギター音が普段はドローン、曲のテンションが高まるに従いハーシュノイズとなって聴き手へと降り注ぐ。まるで死の灰だ。
その下でビートが、足元の悪い地面を転ばないよう踏みしめて、ゆっくりと歩を進める。やがて、ビートがノイズにどんどん埋もれて、消える。
こうなると上モノのノイズは核の脅威、下のビートはそれに喘ぎ苦しむ人々、という図式が鼓膜を通して脳内で映像化される――もちろんモノクロで。

NADJAの雄大かつ繊細、破壊的であり創造的でもある音世界は、コンセプトアルバム仕立てにすることで強き説得力を持った。
決してドラマティックな作品ではないが、まるでドキュメントフィルムのようなリアリティでこちらに迫る本作が、筆者は(まだそのキャリアの半分すら追えていないけど)一番好き。たった三曲で七十九分という長尺ぶりなのに、憑かれたように聴き通せてしまう。
暗黒ハードコア好きよりも、ポストロックやエレクトロニカを好むリスナーの方が本作――いや、彼らが創り出す音への親和性は高いかも知れない。

最後にNADJAの頭脳、エイダン・ベイカー自ら語った影響土壌を記して締め。
GODFLESH, MY BLOODY VALENTINE, SUNN O))), SONIC YOUTH, SWANS.etc
ほらっ、コレでNADJAがどんな音を出しているか丸分かり! 清々しいまでのまんまっぷりに、思わず筆者は「今回の本文要らねーし!」と悪態を吐いてしまいましたとさ。

M-01 Now I Am Become Death The Destroyer Of Worlds
M-02 I Have Tasted The Fire Inside Your Mouth
M-03 Radiance Of Shadows


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