シカゴの名門インディーズ・Thrill Jockey産の、ポップで素朴な歌モノポストロックバンド、2003年作の六作目。
鼻歌は楽しい。声量や技量を気にせず、好き勝手に歌えるから。
風呂場で鼻歌を歌うのは楽しい。声が反響して、エコー掛かって聴こえるから。
この気持ち良さを音源やライヴで聴かせられないものだろうか。
もう耳障りな高音とか、ビブラートをかすれさせて儚さを醸し出してるつもりとか、どっかで習ってきたような声の出し方している奴らばかりでうんざりだ。
せっかく“声”という、扱う者によって音色が千差万別する高スペックな楽器を用いているのに、工夫しないのはもったいないでしょうが。
THE SEA AND CAKEはスーパーバンドだ。
メンバー四人が一流のプレイヤーで、十分な実績を持ち、バンド以外の課外活動も一定以上の評価を受けている、出来杉くんの集まりだ。
それを束ねるのがおそらく実績最上位の、TORTOISEを先導し、プロデューサーとしてSOMAスタジオを切り盛りする(もちろん本作でも辣腕を振るっている)ジョン・マッケンタイア(Ds)――ではなく、Vo兼Gのサム・プレコップである。
彼の“声”なくして、THE SEA AND CAKEは語れない。
鼻腔から発声しているかのような気の抜けた柔らかい、それでいて甘ったるくなく、どこか芯を感じる独特の発声法で聴き手の鼓膜を擽っていく。
その一方でバックは主役を立てて大人しくポップソングをしているのかと思えば、然に非ず。ところどころビートを崩していたり、ベースがほどよくうねっていたり、シンセの使い方が風変わりだったり、アコギだったギターがいつのまにかエレキでファズっていたりと、さすがは手だれども。素直に己を殺しちゃいない。
それでも誰もプレコップを押し退けて主役を張ろうなんざ思っちゃいない。
そこら辺のバランスの取り方はさすがマッケンタイアプロデュース。彼は手掛けるアーティストのキモを熟知し、それを立てて音を構成するので、出来上がった作品は非常に焦点が絞れている。
アルバム全編に漂う雰囲気がからりと爽やかなので、耳障りは非常に良い。
暑くない晴天のドライヴに最適。海岸線だと尚良い。
M-01 Four Corners
M-02 Left Side Clouded
M-03 Hotel Tell
M-04 Le Baron
M-05 Shoulder Length
M-06 One Bedroom
M-07 Interiors
M-08 Mr. F
M-09 Try Nothing
M-10 Sound & Vision
M-04 Le Baron
M-05 Shoulder Length
M-06 One Bedroom
M-07 Interiors
M-08 Mr. F
M-09 Try Nothing
M-10 Sound & Vision
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