2011年5月24日火曜日
OM 「God Is Good」
ギターレススラッジコアデュオの四枚目。2009年作。
SLEEPで共に伝説をおっ立てたアル・シスネロス(b/vo)とクリス・ハキアス(ds)が袂を別ち、新ドラムにエミール・エイモスが迎えられた。
暗黒音楽専門大手インディーズ・Southern Lord Recordsから離れ、本作からシカゴのポストロック系大手・Drag Cityに移籍した。
頑なにベースとドラムのみという最小表現を貫いていた彼らが、本作でフルートやタンブーラを導入した。
ベースに掛けていたディストーションが弱まった。
でも録音技師は前作「Pilgrimage」同様、スティーヴ・アルビニ。
明らかにアルビニの下、本作で新展開に移行しようとする強固な意思が見て取れる。
前作まではハードコア上がりという矜持があったのかも知れない。だからベースはブリブリうねっていたし、淡々とした曲調からふとテンションを高めてくる展開もあった。
今回はそれらを放棄し、淡々とした曲調のまま、さまざまな角度から曲の彩を変える音楽的深化を図ったのだろう。
それだとたった二人では足りない、賄えないと悟った。だが――
や、これ以上は筆者の妄想になるので省く。
これだけの複線と理由立てがあるのに、まだへヴィさに固執させるのは酷だ。
明らかにジャンル分けやレッテルが創造の足枷になっている。
とは言え、プロデューサーと呼ばれることを極度に嫌い、音をありのままに録るコトだけに固執するアルビニ的放任主義が彼らに合っているとは思えない。
逆にプロデュースという名の下、がんがん指示を与えるのは、更に彼らへ音楽的制約を加えているようで忍びない。
OMは思春期の少年少女のように気難しいバンドだ。
筆者はそんな彼らが紡いだ本作を「音楽的に芳醇になったねっ。先が楽しみだー」と温かい目で褒めようと思う。
そうすればきっとハードコアの、更に狭きスラッジコアなどという枠で語る必要のない、甘辛い陶酔音楽を創ってくれるはずだ、いずれ。
あ、そうだ。せっかくDrag Cityに移籍したんだから、アルビニじゃなくてジム・オルークに任せてみたらどうだろう?
筆者がアルビニの投げっぱなしジャーマンが好きではないだけなんだけどね。
M-01 Thebes
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