ダサい。ユニット名がびっくりするほどダサい。
Skam RecordsにはTEAM DOYOBIやFREEFORMやWEVIE STONDERなど、名前なんてどうでもええわ! と言いたげな(そこが匿名性を重視するニカ人種らしい)ネーミングセンスを持つ奴らが所属しているので、彼らもその類いかと思った。
だが、どうも違う。スペルの崩し方からして、明らかにヒップホップの人種だ。Skamはニカレーベルだし、音響系っぽいトラックに乗ってラップを刻んでいると仮定して……もしかしてこのセンス、至って大真面目か?
せめて斜に構えた理由で付けた名前だと思い、チップチューン系のチープなトラックに、楽しそうなフロウを紡ぐお茶目さんだろうと踏んだ。
いやー、ジャケからして大真面目なんだから、コレであほ路線な訳ないでしょうが!
本作は真摯な姿勢でヒップホップに取り組むアメリカ出身の3MCが、オランダ出身の兄弟からなるFUNCKARMAと組んだユニットの初アルバムである。2004年作。
ややバウンシーにラップを乗せるBREAFFとDREAMとNON GENETIC
明らかにヒップホップ保守層からの爪弾き上等! と言わんばかりの、まんまニカ系トラックを渡して『コレでフロウ刻んでみせろ』と薄ら笑い。3MC'sも『面白え、やってやろうじゃねえか』と、嬉々として(ヒップホップ流儀としては)ド異端の変態トラックに乗る――
ココであぶなっかしくではなく、平然と乗りこなしてしまうところに、三人のスキルの高さとアメリカのヒップホップ層の厚さが見て取れる。
いやいや、リーダーのNON GENETICは日本のブレイクビーツ侍・RIOW ARAIとコラボ経験があるくらいの変態アングラヒップホップ野郎である。むしろ狙ってFUNCKARMAに近付いたのだろう。
そもそも『ヒップホップ流儀に則った』とは書いたが、あくまでトラックがブレイクビーツを基調にしているためにそう聴こえるだけ。ヘッドフォンでじっくり聴けば、拡散した音色の使い方やディレイを多用する音の崩し方など、徹頭徹尾ヒップホップフォーマットからずらして創られている。
しかも声や言葉を武器とするラッパーの上前を撥ねるような、声の加工を大胆に執り行っている。リミックス音源でもなく、アクセントを越えてこれほど弄りまくっているヒップホップアルバムはそうそうない。
なるほど、こりゃSkam産になるわ。
果たしてコレをヒップホップカルチャーどっぷりのB-BOYサンが聴くかどうかは別として、ニカ側の人が聴かないのは本当にもったいない。
双方、クラブミュージック上がり。ヒップホップから生まれたブレイクビーツをニカ側が導入した時点で、いづれこのような形で完成を見るのは確定事項と言うか――
そのくらいこのアルバムは凄い出来なんだが、如何せん自己顕示欲のないSkamレーベル。地味ーにひっそり売り出されてま。
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