あのカート・コベインの悪友、ディラン・カールソン率いるスラッジドローンプロジェクトの一枚目。グランジ最盛期の1993年に、かのSub Pop Recordsより発表された。
一枚目なのになぜ「2」なのかは、ミニアルバム扱いのコレをカウントに入れているため。
今更、このブログを開いて「曲展開がどーたら、作曲法があーたら」言う方も居ないと思われるが、それでもこの音は過ぎるかも知れない。
良く言う“投げっぱなしジャーマン”ですらない。強いてプロレスで比喩するならば、まずゴングが鳴って組み合いすらしない。じりじり相手との間合いを計ったまま、リングをぐるぐる回っているだけ。
それを六十分三本勝負で三本とも、延々と続けるようなモンである。
普通なら急いて煽る。罵声が飛ぶ。やがて席を立つ――つまり再生プレイヤーの停止ボタンを押される。
だが彼らはそんなファイトを、あえて演った。
徹底的に歪ませたギターリフをフィードバックで存分に引き伸ばし、相方のベースをその下に這わす。他の音色どころかバンドの根幹たるビートまで排除し、挑む。
清々しい青空が空漠として映るくらい、禍々しい緊張感を隠し通せずに。
ただ彼らは無意味にリングを回っていたのではない。お互い、ずーっと相手の隙を窺っていたのだ。しかも双方、一瞬も付け入る空気を与えず貰えず、攻めあぐねていたのだ。
つまりギターとベースのタイマンだけで、究極の寸止め芸術を繰り広げたのだ。
本作ははっきり言って山もない、落ちもない、意味も放棄している。801かよ。
ただ、殺る心意気だけは作中に充満している。音楽ってのはコレだけで意味がある。
七十三分は意外と短いモンだと知るであろう。
M-01 Seven Angels
M-02 Teeth Of Lions Rule The Divine
M-03 Like Gold And Faceted
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