ずいぶんと凄いユニット名だが、単なる“Christopher”の略なので。
で、音はご推測通り。まんま、と言っても年輪に従って進歩はしているが、音源毎に音の遍歴を味わうタイプのアーティストではないのは確か。
意地の悪い見解だがBOCとの目立つ差異は、向こうがゆったりとビートを刻んでくるのに対し、こっちは割と細かくパターンを組んでいる点。あと、上モノの音色がこっちの方がより古臭い点くらい。
老舗から暖簾分けを受けた方がその味を守り、老舗は老舗で古くからの客から愛想を尽かされない程度に新たな趣向を凝らしている、みたいな。
でも筆者は、それほどこの両者の音世界が被っているようには思えないんだけどなあ。
感覚的に本文を書くのは良くないコトなので、ひたすら本作を聴き込んでみた。
良いアルバムだなあ……と目を細めたくなるのは当然として、どうもCHRIST.の作風は我が弱いような気がした。
BOCはああ見えて、設定した主音を出来る限りフィーチャーしてトラックを組んでいる。印象に残る音色を印象深くするよう、細心の注意を払っている。もちろん脇役を蔑ろにしているのではなく、主音を盛り立てるような形でそこに在る。
一方のCHRIST.にも当然、トラックの軸となる主音はある。ただ、それほど自己主張しない。それよりも、他の音色との調和を第一に考えているかのような構成なのだ。
CHRIST.の手法ははっきり言って地味だ。だがきちんと創り込んでいる分、味わい深い。絹織物のように繊細な音色の調べが秀逸なM-08など、彼の真骨頂ではなかろうか。
本作を一聴して「何か引っ掛かりがない」と零す貴方。じっくり聴き込んで御覧なさい。心に引っ掛からないのは、音が心に溶け込んでいるからだと。
さて、終いに残念なお話。
CHRIST.が所属するBenbeculaレーベルは2009年をもって解散してしまったようだ。
彼は今後、どのレーベルで活動するのだろうか。あえて、Warpは止めてね。
M-01 Substation
M-02 Happyfour Twenty
M-03 Making A Snow Angel
M-04 Ganky
M-05 Stained Century
M-06 Cordate
M-07 Holobenthic Grex Venalium
M-08 Blue Shifty Missions
M-09 Breathe Between Sleep
M-10 Vernor Vinge
M-11 Balaam
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