2011年7月10日日曜日

RED SPAROWES 「Every Red Heart Shines Toward The Red Sun」


中国革命の指導者である毛沢東は稲を食い散らかす雀を害鳥と定め、徹底的に駆逐させた。食物連鎖を乱したその愚行により、やがて害虫が異常繁殖。中国は未曾有の大飢饉に陥った。
そんな赤い中共の歴史をアイロニーにした(雀の正しいスペルは“Sparrow”)、ISISのギター兼キーボードとNEUROSISのヴィジュアル担当(当バンドではギターを弾いている)らが組んだインストプロジェクト、2006年作の二枚目。
レーベルはNEUROSISが運営するNeurot Recordings

本作は毛沢東が執った大躍進政策をモチーフにした、スペクタクル巨編となっている。
大げさではない。そのくらいダイナミックに、ドラマティックにアルバムが進行する。
歌詞など邪魔。歌など要らない。その代わりに曲のタイトルが長い。舞台設定は音が担う。中国の広大な領土を思わせる、スケールのドデカい音だ。
それはポストロックにしては質感が重く、エッジが利き過ぎている。が、ハードコアにしては刹那的な衝動に欠けている。

これをどっちつかずと断罪するか、いいトコ取りと賞賛するかは個人差による。
ただ、7分越えの長丁場の曲をずらりと並べ、強弱法を駆使して劇的に、物悲しいメロディを組み込んで叙情的に、音像の空間処理にもきちんと目を配ってびしっと引き締めた本作を貶そうなんて……そんな大それたコト、筆者には出来ない。
〝どっちつかず〟の印象を受けるような作品は、その品質が外野の屁理屈を凌駕する域にまで達していないからだろう?
本作にはそんな心配はないので、胸を張ってへヴィ系音楽を嗜まない層の方々へお薦めしたい逸品である。
個人的には、ベースのフレーズが単調だと感じた1st「At The Soundless Dawn」から、まろやかで深みのある音色になったことが嬉しかった。

筆者の中ではケチの付けドコロがない、ほぼ完璧に近いアルバム。音だけではなく、装丁までもが素晴らしい。
いや、ムダに曲名が長いのだけは勘弁して欲しかったわー。

M-01 The Great Leap Forward Poured Down Upon Us One Day Like A Mighty Storm, Suddenly And Furiously Blinding Our Senses.
M-02 We Stood Transfixed In Blank Devotion As Our Leader Spoke To Us, Looking Down On Our Mute Faces With A Great, Raging, And Unseeing Eye.
M-03 Like The Howling Glory Of The Darkest Winds, This Voice Was Thunderous And The Words Holy, Tangling Their Way Around Our Hearts And Clutching Our Innocent Awe.
M-04 A Message Of Avarice Rained Down And Carried Us Away Into False Dreams Of Endless Riches.
M-05 〝Annihilate The Sparrow, That Stealer Or Seed, And Our Harvests Will Abound; We Will Watch Our Wealth Flood In.〟
M-06 And By Our Own Hand Did Every Last Bird Lie Silent In Their Puddles, The Air Barren Of Song As The Clouds Drifted Away. For Killing Their Greatest Enemy, The Locusts Noisiliy Thanked Us And Turned Their Jaws Toward Our Crops, Swallowing Our Greed Whole.
M-07 Millions Starved And We Became Skinnier And Skinnier, While Our Leaders Became Fatter And Fatter.
M-08 Finally, As That Blazing Sun Shone Down Upon Us, Did We Know That True Enemy Was The Voice Of Blind Idolatry; And Only Then Did We Begin To Think For Ourselves.


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