スティーヴ・コビーとデイヴィッド・マクシェリーからなる、英国はヨークシャー出身デュオの八枚目。2002年作品。
残念ながら2006年をもって、ひっそりとコンビ解消している。
彼らは英国クラブシーンにおいて、不思議な立ち位置に居たユニットだったと思う。
強烈な個性を発していた訳ではない。目新しいコトは一切していない。奇を衒ったりしない一方、あからさまな既存種へのすり寄りも見せない。
ただ実直に、古臭くてちょっぴりダサい音色を使って、ジャズファンクをブレイクビーツで彩っていただけ。
なのに、ふと気付けば前にも後ろにも人が居ない。でも多くの人々が自分らを見てくれているので、無我夢中で走る。
それが異常な数のリミックスワークに表れているのだろうし、1994年のデビュー作から1999年の前作まで、ほぼ休みなしでアルバムを切ってきた結果であろう。
言ってみれば芸術家肌というよりも職人肌な人たちだと思う。
毎年アルバムをリリースしていたFILAだが、本作で初めて三年間ものブランクを空けた。
1998年発表の前々作を最後に彼らは地元インディーズのPork Recordingsを離れ、自己レーベルTwentythreeを立ち上げたのだが、その経営で忙しかったのだろうか。
その割には1999年以後、DJミックス盤やらリミックス盤やらライヴ盤やらを、自己レーベルに限らずぷいぷい出していたりする。
なあんだ、じっくりと制作期間を置きたかった訳ねい。
お陰で本作は今までのFILAとはひと味だけ違う。
ド直球に、M-03、05、09、11で、何とスティーヴ・エドワーズなるゲストヴォーカリストを迎えたのだ。初の歌モノである。歌詞カードまである。
そのエドワーズは黒っぽい声質でしっとりと歌い上げるR&B系シンガーで、表現は悪いが今までアルバム毎に金太郎飴していたFILAの可能性を広げるのに一役買っている。
このひと味が上手くアルバムにフックを与え、問題作が議論を呼ばず、しっかり出来の良い〝勝負作〟に仕上がったのではなかろうか。
ちなみに彼らはUNITED FUTURE ORGANIZATIONやHOODRUM、アニメ「カウボーイ・ビバップ」のサントラと、なにげに日本製との繋がりがある。
その割には日本での知名度低いよなあ……と嘆きつつも、実は中古CD屋のクラブコーナーではFILA作品が容易に発見出来るので、知る人ぞ知る存在なのかもねい。
M-01 Bublehaun
M-02 Motown Coppers
M-03 Spill The Beans
M-04 DNA
M-05 We Build Arks
M-06 It's A Knockout
M-07 Monk's Utterance
M-08 Percival Quintaine
M-09 Nightfall
M-10 Mother Nature's Spies
M-11 The Green Green Grass Of Homegrown
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