シカゴ音楽シーンを華麗なフットワークで牛耳るコルネット吹き、ロブ・マズレクが結成した十四人編成の文字通りジャズオーケストラ、2007年発表の初アルバム。
ジョン・マッケンタイアを始めとするTORTOISEのメンバーが三名、マズレクの別ユニットISOTOPE 217°のメンバーが一名参加しているが、その他のメンバーの素性は筆者のジャズシーンの不勉強により、分からない。申し訳ない。
スタジオは例のトコ。エンジニアはもちろんマッケンタイア。当然、プロデュースはマズレクとマッケンタイアの連名。
まずはM-01、ジャジーなビートがマリンバと共に推進し、そこへ軽快なフルートが被さった刹那、(筆者を含む)ジャズ一見さんは「コレってもしかして物凄え作品……!?」と息を呑むことだろう。一方の生粋のジャズリスナーはどう思うかって? 知らんよ。「いやいや本物のジャズは云々……」講釈垂れんじゃね? アタマがっちがちだし。
それはさて置き、最大十四もの音が時には協力し、時には音を別ち、時には影に入り、時には日向に転じ、爆裂(Exploding)に向けてテンションを高めていく様は圧巻だ。
その爆裂パートもただドガチャカ演るのではなく、時間軸を入れ替えて爆裂後の景色を器楽化してみたり。ただどーん! と爆発するのではなく、打ち上げ花火のような多くの爆発を束ねて形取る、統率の行き届いた音像を展開するのだから恐れ入る。しかも曲のハナからどかーんと演ってから、時系列を追うかの如く丁寧に曲を逆算させたりもする。花火と言えば、打ち上げではなく線香花火のような可憐でささやかな爆裂をそっと提供してくれたりもする。
手を変え品を変え。
それにしてもジャズならではの即興部分も、明らかに鳴らし方がジャズではなく、音響派どもが演ってきた気持ち良い音を抽出するメソッドを用いているのだから、バンマスのマズレクも食えぬ奴よの、と。
筆者はジャズのことをあまり理解出来ていないが、そんな聴き手をあっという間に取り込み、このアルバムは凄えな気持ち良いなかっけーなと脊髄反射を起こさせる即効性はまさしく買い。
それでいて、じっくり聴き込んでも深みが増す。
試聴で惚れて衝動買いしても一生の付き合いが出来る、本作はそんな名盤。
Sting Ray And The Beginning Of Time
M-01 Part 1
M-02 Part 2
M-03 Part 3 (Psycho-Tropic Electric Eel Dream)
M-04 Part 4
M-05 Black Sun
Cosmic Tomes For Sleep Walking Lovers
M-06 Part 1
M-07 Part 2
M-08 Part 3
M-09 Part 4 (Fifteen Ways Towards A Finite Universe)
M-10 Part 5
M-08 Part 3
M-09 Part 4 (Fifteen Ways Towards A Finite Universe)
M-10 Part 5
M-11 Luminous Galaxy (Bonus Track For Japan)
日本盤のみのボートラのM-12には、STEREOLABのレティシア・サディエールがフランス語のポエトリーディングで参加。コレだけでも日本盤を選ぶ価値はあるかと。
M-12 Dark Water (Bonus Track For Japan)
日本盤のみのボートラのM-12には、STEREOLABのレティシア・サディエールがフランス語のポエトリーディングで参加。コレだけでも日本盤を選ぶ価値はあるかと。
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