2011年7月12日火曜日

V.A. 「Skam Cats」


諸君、猫は好きか?
筆者はまあまあ好きだ。街で見かけた時、「可愛いなあ」と目尻を下げて眺め、やがて撫でて愛でずにそっとその場を去るくらい好きだ。Yes Noraneco! No Touch!
だが、愛猫家はそんなモンでは済まない。
「にゃんこー、にゃんこかわいいよおうううう」と文字通り猫撫で声を出して、向こうの迷惑を顧みず抱きかかえ、もふもふの身体を触りまくるのだろう。

本コンピはそんな気持ち悪い輩が雁首を並べた、世紀の奇盤だ。2005年作。
もちろんこんな訳の分からない企画を立案するトコなど、Skam Recordsしかあり得ない。

タイトル通り、トータルコンセプトは“猫”。「みんなでNeconicaしようぜ!」と、Skamレーベルが一般募集したトラックの優秀作品がコレ、だそうな。約一名を除いて(後述)。
アプローチは様々。猫の鳴き声をサンプリングに取り込む者。その鳴き声のピッチを弄りまくって上モノとして生成する者。猫をモチーフにトラックを組むだけの者。果てには、自ら猫の鳴き声を真似る者まで居る。
ただ、ディスク二枚に渡って共通する空気が――

お前ら化け猫伝説でも信じているのかと。

本人たちは純粋な猫愛を表しているだけなのかも知れないが、レーベルカラーの安っぽい音に乗せて語られるその愛はどうも狂気を帯びているような気がしてならない。聴き進めていくうちにだんだんと不安に駆られてくるのだ。
だが、そこら辺をネタとして昇華出来る聴き手なら、このアルバムは趣き深いコンピであろう――念のためにSkamの発する独特な空気に慣れる必要はあるが。
とは言うものの、特別枠として既発曲で参加している本作中唯一の著名アーティストがMIRA CALIX(AUTECHREのショーン・ブースの妻)――よりによってあのニカ魔女かよ! なんて時点で、本作はエレクトロニカの旅を始めたばかりの冒険者にとって中ボス並みの難敵なのかも知れない。

だから今回の感想文は推薦ではなく、警告! に近いのかも知れない。
迷ったら、先に進むな、まずセーブ。(RPGの心得・其の三、くらい)

(……よし、コレだけハードルを上げれば、初見殺しにはならないだろう!)

Disk-1
M-01 Kattenkwaad - LIVING ORNAMENTS
M-02 Qat - OBSESSION 27
M-03 Fasterpussyfatcatpower - AMNESIE
M-04 Kephlar Mask (Frozen Plural) - CELAR CURVE
M-05 New Purrspective - GREENKINGDOM
M-06 Appelons Un Chat, Un Chat - [GUYOM]
M-07 Chevjya Niinron No Jyin Nevach -  ROLEX2$
M-08 Pudditat - MIRA CALIX
M-09 Inflatable Carpet - SCOSSA
M-10 The Greatest Movie Ever - Mr. MIPS
Disk-2
M-01 Help - RIVAS GONZALES
M-02 Cats N Oggs - E.STONJI
M-03 adyatone – Chatone -  LADYATONE
M-04 Gato Malo - RIVAS GONZALES
M-05 Regiment De Compte A Chat Chorale - [GUYOM]
M-06 Schroedingers Cat - AUTOMATOFONIC
M-07 Porno Mogs In Wood - ED MACFARLANE
M-08 Flickered Like Flame - RUSUDEN
M-09 Kitten Escapes The Laboratory - SPINKLE STEIN
M-10 Clearing - YARD
M-11 Cat Time - ASCALAPHE
M-12 Felonic (Catnip Bong Mix) - SCRUBBER FOX

ちなみに初回五百枚限定で、ケースが手作り毛皮ポーチに納められていたらしい。
てめえ! それ、もしや天然猫皮100%の代物じゃあるまいなっ!


0 件のコメント:

コメントを投稿