2012年4月10日火曜日

THE CINEMATIC ORCHESTRA 「Every Day」


J・スウィンスコー率いるジャズ楽団による、彼らの評価を決定付けた二枚目。2002年作。
レーベルはもちろんNinja Tune

前作のような起伏の激しさはなく、全般的にしっとりとした作品となっている。
映画で例えるなら、前作はサスペンス。本作は大人の恋愛映画。
音像は前作よりもループやブレイクビーツ感を生かし、クラブジャズ路線を幾許か強めている。(DJ FOODことパトリック・カーペンターの加入はおそらく関係なく)
ただ、しっとり一辺倒かと言えばそんなコトはなく、M-05のようなインプロっぽい各楽器の競い合う部分など、ぐっと来れる曲調もあり。

バランスが取れている上に、一聴ですっと心に入り込んでくるスマートな音世界だ。

それに加え、本作はシンガーとラッパーを招き入れて、更に口当たりが良くなった。
M-01とM-04では御年六十二歳(当時)、フォンテラ・バス婆様が堂々たる歌唱を披露。若い頃の初々しさから年輪を重ね、一皮も二皮も剥けた渋い声色に痺れる。もはや〝ヴォイス・オブ・シネオケ〟とお呼びすべき存在感だ(体型もね……)
一方、M-06ではUKヒップホップシーン屈指のラッパー・ROOTS MANUVAが参戦。何でも彼は、スウィンスコーが薦めたヒップホップっぽいトラックをスルーして、ライムが乗せづらそうなトラックを自ら選んだという。彼の真摯な音楽姿勢を示したエピソードである。

筆者が思うに、ケチの付けようがない完璧なアルバム。なのにいつもより気の利いた締め文が思い浮かばない。くやしい……! でも……感動しちゃう!

M-01 All That You Give
M-02 Burn Out
M-03 Flite
M-04 Evolution
M-05 Man With The Movie Camera
M-06 All Things To All Men
M-07 Everyday
M-08 Oregon (Bonus Track For Japan)
M-09 Semblance (Bonus Track For Japan)


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