SEEFEELの別働隊と言うか、残党と言うか……。1998年作品の初オリジナルアルバム。
SEEFEELだけでなくPJ HARVEYやSTEREOLABなど、今となってはビッグネームを輩出したロンドンのToo Pureより。(現在はBaggars Group傘下)
Too Pure→Warp→Rephlexと、作品ごとに有力インディーズでたらい回しにされ、結局は〝休業〟の札を下げざるを得なかった彼らの新たな第一歩が本作。
メンバーはSEEFEEL首魁であるクリフォード以外の三人――ピーコック、シーモア、フレッチャーと、SEEFEEL最初期メンバーにして本名名義やLOCUST(蝗隊じゃないよ!)で着実に実績を重ねていたマーク・ヴァン・ホーエン。
ホーエンとは彼のSEEFEEL脱退後も交流は続いていたし、クリフォードの不参加は仲違いからではない。
SEEFEELの冥界サウンドを先導していた者をマイナスし、SEEFEELを常に外から見守っていた細密な音響工作を得意とする者をプラスしたら……意外にもバラエティに富んだ作品が生まれた。
基本は打ち込み。何と三度もレコーディングし直したらしい。
明るくはないがポップな調べを持つ曲や、暗さよりも悲しみを湛えた切ない曲もある。オーケストラ風の荘厳な曲もあれば、ギターのディストーションを利かせた如何にもUKロック風な曲もある。インダストリアルロック調の曲まである。
雑多なそれらに統一感を持たせるため、全体的に浮遊感漂うシューゲイザーちっくな音響工作を施してある。面子からして至極当然の流れか。
それよりも、SEEFEELでは〝音色としての人声〟を求められたピーコックが、歌詞のある音色をほぼ全編通して歌っている点に注目が集まることだろう。
ただし、思ったより巧くなかったりする……。
多様性のあるトラックに負けぬよう、いろいろ声色を変えて頑張ってはいるのだが……時々音程が微妙に外れたり、高音域で音符が横並びになったり、バックにすっかり埋もれたり……。〝歌〟という最強の音色としては些か頼りなく、もしかして今までまともに歌わせてもらえなかった理由は……? なんて勘繰りたくもなる。
でも慣れるとヘタウマ的な楽しみ方が出来る。何より透明感のあるトーンは魅力だし、それ一辺倒にならないよう踏ん張る涙ぐましい努力は買いたい。
実力者が念入りに仕上げた高度なプロダクションと、そこはかとない危うさ。正の中に一点、奇を盛り込む生々しさが美味――
と結論付けるべきか。こんな評価、ピーコックさんにとって不本意なんだろうなあ。
M-01 Slide
M-02 Remember How To Breathe
M-03 17765744G (Excerpt)
M-04 Colt
M-05 Wires
M-06 Blank Narrow Shut
M-07 Eyes Alpha
M-08 Be Together
M-09 Breaking Point
M-10 Still
M-11 Palace
M-12 17765744J
(Bonus Track For Japan)
M-13 VDT
M-14 Pain & Pleasure
M-15 Tears
M-16 Triptych
M-17 Slide (Richard Fearless Remix)
M-18 Slide (Bruce Gilbert Remix)
日本盤は六曲ものボートラが付いたお得仕様。ただし現在廃盤。
と言っても全て既発曲で、M-13からM-16までは1996年発表「Lips & Heaven EP」の、M-17とM-18は1997年発表「Slide EP」の音源。
日本盤は六曲ものボートラが付いたお得仕様。ただし現在廃盤。
と言っても全て既発曲で、M-13からM-16までは1996年発表「Lips & Heaven EP」の、M-17とM-18は1997年発表「Slide EP」の音源。
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