2012年4月6日金曜日

MOGWAI 「Hardcore Will Never Die, But You Will」


スコットランドはグラスゴーの誉れ・MOGWAI、2011年発表の七枚目。
EU盤は自己レーベル(の割には若手育成にも余念がない)Rock Action Recordsだが、US盤は何とSub Pop Records! その移籍第一弾アルバムとなる。
遅れ馳せながら当Blog初登場。

MOGWAIと言えば〝白い轟音〟と呼ばれる象徴的なフィードバックギターと、しっとり静謐なメロディアス曲の二極分解が売りのバンド。M-01などその曲名通り。以後も基本的に二極の軸は微動だにしない。
ただ近年、それだけでは納まらない〝食えないバンド〟と化している。
具体的に書けば、人を食ったようなユーモアセンスと、度量の広い音創りだ。

アルバムタイトルは「MOGWAI、ハードコアたれ!」なんて矜持でも何でもなく、単にパブで見かけた未成年が酒を売ってくれない腹いせに店員へと吐いた呪いの言葉が元ネタ。しかもM-10などAxCxを思わせるあほ曲名(前作でもやってるね……)
舐めた創りは言葉だけに留まらない。
旧友のルーク・サザーランドが喘ぐように歌う(その彼、他にもギターやヴァイオリンなど、第六のメンバーばりに本作に貢献している。しかも小説家の貌も持つ)横で、ヴォコーダーが合いの手を入れるM-02。メロパンだかエモコアだかで聴かれそうな歌メロをギターに挿げ替えたへんてこ曲のM-05。(ノークレジットの)まるでヴォーカロイドが歌ったような激ポップ曲のM-07など、そこかしこにニヤニヤさせられる仕掛けが施されている。

それらポップな親しみやすさとは真逆のアプローチも欠かさない。
M-09やM-10など、物凄く取っ付きの悪いドへヴィ曲を大胆にぽんと差し出して来たりもする。普段通りと思わせといて、山でスラッジーに聴き手の臓腑を握り潰す不意打ちを。
そこに唐突感や違和感がないのは、元々メンバーはメタルやパンクなどラウド音楽が大好きで、しかもその界隈の輩とタイバンする広域な守備範囲を有すバンドだから。畑違いの音を血肉にする土壌は出来ているのだ。

つまり〝何を演ってもMOGWAI〟状態。
原点回帰を旗印に復活した前々作から着々と音楽的領土を広げ、とうとう本作で最盛期を迎えた! と筆者は言い切りたい。
歴史風に言えば「MOGWAI王朝、中興ノ祖的銀盤」。

Disk-1
M-01 White Noise
M-02 Mexican Grand Prix
M-03 Rano Pano
M-04 Death Rays
M-05 San Pedro
M-06 Letters To The Metro
M-07 George Square Thatcher Death Party
M-08 How To Be A Werewolf
M-09 Too Raging To Cheers
M-10 You're Lionel Richie
M-11 Slight Domestic (Bonus Track For Japan)
M-12 Hasenheide  (Bonus Track For Japan)
Disk-2
M-01 Music For A Forgotten Future (The Singing Mountain)

日本初回限定盤はゲートフォールドのハードカヴァー装丁に加え、何だか可愛い髑髏がプリントされたギターピック付き。コレなら別に通常盤でも構わないと思うも、豪華でカッコ良いジャケは所有欲が満たせて堪らんよ。


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