キエラン・ヘブデンの2013年作・六枚目は、非常に評価の難しい作品だと思う。
前作以降、速めのBPMでノリの良いボトムを敷くようになったのはもちろん、アナログを模した紙ジャケCDリリースにこだわったり(銀盤出しづれーからコレ、止めてくんねーかな!)。本作をレコードの最適録音時間=片面二十分ずつでまとめたり。自身のレーベル:Text Records(本作もココから発表)から12インチEPを頻繁に切ったり。
これらは全て、彼の現場志向が如実に表れた結果である。
それが〝偏重〟なのかも知れないなー、と考え始めたのはのっけのM-01を聴いてから。
何と、古いレコードでよく聴こえるぱちぱちしたノイズを、グリッチ代わりに堂々とトラックへ混ぜているのだ。CDなのに。新曲なのに。生々しさを出したいのか、クラブ感≒DJミックス感を出したいのか。
そんなのは枝葉で、上モノがよりチープに、よりシンプルになったのが根幹。
シンプルかつチープになったのは、最近のクラブ系の傾向である〝ボトムはファットに、上モノはファットさを強調するため簡素に〟を順守したに過ぎないが、アルバムほぼ全編で主音格を張っている声ネタの使い方は何とも。ただひねりなくループさせているだけ、と取られても仕方ないくらい安易な用い方をしていて、首を傾げざるを得ない。
以前の彼ならもっとやれただろう、と。
ここら辺の旨味のなさを論うコトも出来る。
ただ、M-04とM-10のような、声ネタを立てずに螺鈿細工のような雅で美しい上モノをフィーチャーしたトラックもある。M-02のような〝音色の魔術師〟の面目躍如たる、趣深い音色を巧みに折り重ねた本作のリーダートラックもある。
そもそも〝アルバム〟と言う〝面〟で見ず、〝トラック〟と言う〝点〟で見れば、安易な批判は憚られるレヴェルの内容ではある。
恐らくヘブデンの中で、『アルバムなど、クラブで回すトラックを集めただけ』なんて考えに至っているのかも知れない。
あえて上モノをシンプルに載せているのは、『クラブで弄り倒しやすいように』などと割り切っているのやも知れない。
それって、カラオケで歌うために音楽CDを買うのと何ら変わらんのでは?
目を覚ましてください、キエラン・ヘブデン!
現場とスタジオ作業は別物です! クラブでは
両立しましょう。貴方なら出来る! もうクラブ偏重はそのくらいになさい!
M-01 Gong
M-02 Parallel Jalebi
M-03 Our Navigation
M-04 Ba Teaches Yoga
M-05 Kool FM
M-06 Crush
M-07 Buchla
M-08 Aerial
M-09 Ever Never
M-10 Unicorn
M-11 Your Body Feels
えー済みませんHostessさん? ステッカー(と解説)を付けた程度でコレ、わざわざ日本盤発売する必要ないん違いますゥ?
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