ノースカロライナ州出身の四人組、2001年作の二枚目。
シカゴインディーの雄:Thrill Jockey Recordsの分家であるOvercoat Recordingsから。
音世界はフォークやカントリーの触感を残す、落ち着いた歌モノロック。
とは言え、ヴォーカルは決して怒鳴らず、ゆったりと憂いのある声を五線に添えて行く。ギターもディストーションを掛けてストロークでギャーン!! と掻き毟るはずもなく、アルペジオ中心の優しい調べを奏でて行く。
この通り、ロックの躍動感や破壊衝動など見込めるはずもなく、アルバムは穏やかに、幾分か枯れた空気を伴いつつ、淡々と進行して行く。
ならば、落ち着いた大人の雰囲気漂う作風なのかと問われれば、どちらかと言うと大人よりも青年向けかな? と答えよう。すっかりリクルートスーツも板に付いた入社数年目の青年が、楽しかった幼少期や学生時代を思い出しているような音楽、と評して理解していただけるだろうか。
ここであえて誤解を恐れずに書くが、彼らやこの作品に、際立った特徴はない。
聴いて感動に打ち震える訳でも、粒揃いの名曲が絶妙な配置で収録されている訳でも、先進的な技術がふんだんに使われている訳でもない。
一回聴いただけではこのアルバムの真価は窺い知れないのかも知れない。
地味、地味、アンド地味。
だがその分、聴き手の邪魔は一切しない。そっと鼓膜をくすぐって、煙のように脳内へと消えて行く。
だからこそ、エゴは必要ないのだ。
さあ耳休めに、とりあえず聴いてみよう。
何回か聴いて『あ、このアルバム、好きかも』と、ふと気付いてくださる方をこのように伝聞でも増やしていかねば、ファン層の拡大が見込めない。
まずは『人付き合いはとかくしんどい。独りで居る方が気が楽』と日々痛感している、ぷちコミュ症のキミ。浸れる音、ありますよ。
M-01 Let You Down
M-02 Porchlight
M-03 Simplify
M-04 Et Tu, Kitte ?
M-05 Rustic Chairs
M-06 Sleeping On The Ground
M-07 Patterns Shape The Mile
M-08 Courtyard Waltz
M-09 Arun
M-10 The New Evil
M-11 Baby You're A Dead Man
M-12 Do What You're Told
M-13 Dirt And Grime (Bonus Track For Japan)
M-14 Shaky Hand (Bonus Track For Japan)
M-15 Down With Circumstance (Bonus Track For Japan)
M-16 Passed Over (Bonus Track For Japan)
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