2014年3月28日金曜日

JACKSON AND HIS COMPUTERBAND 「Glow」


御仏蘭西の変態王子:ジャクソン・テネシー・フォウジューが! 八年ぶりに! 帰って来た!! 2013年、二枚目。
今回はカーチャン(ポーラ・ムーアakaバードポーラ)抜き。代わりに英国の奇妙な女性トラックメイカー:PLANNINGTOROCK(M-03)、PLAIDやHERBERTと仲の良いウクレレおばさん:マーラ・カーライル(M-05)、サミー・オスタ(M-01でギター)とアンナ・ジーン(M-07、11)からなるフランスのフォークデュオ:DOMINGOなどが参加。
コレは親離れではなく子離れである。

前作は音色密度のやたら高い切り張り過多ニカを演っていたが、今回も例に違わない。相変わらず一曲に用いる音色の多いこと多いこと――無論、各音色にきちんと目配りが行き届いた巧みなテクスチャで。
ただ、解釈がストレートになったと言うか、ロックのフレイヴァーを入れたと言うか、更にダサカッコ良くなったと言うか……音楽性が幅広くなった。
凶暴なちんこ生命体が次々とグラマラス美女に襲い掛かる! 強烈なPVで股間をひゅんとさせたシングルカット曲M-04を始めとするロック――いや、ニューウェーヴっぽいダサさ紙一重のアプローチは、音楽的変態性の強い彼の彩にすっかり浸透し切っている。はっきり申し上げて、ちょっと前にロック側で流行ったニューウェーヴリヴァイバル連中の付け焼刃っぽさとはモノが違う。
それはやはり、オリジナルのニューウェーヴが模したエレクトロやディスコポップなどの要素を、フォウジューが既にバックボーンとして有していたからに他ならない。

とは言え、そればっかり演るほど先の見えていない男でもなく。
M-05のような荘厳さも、M-07のような物悲しさも、M-09のようなエレクトロポップかと思いきや模造オーケストレーションを用いた勇壮さも、上記の下世話なニューウェーヴ風味も、一枚のアルバムに収めて雑多な感じがまるでしないのは人徳か魔法か才能か。
それとも、もはやおどおど音楽性を探りながら創る時期はとうに過ぎたと言うのか、たった二枚のアルバムキャリアで。(実はデビューから足掛け15年選手だったり)

あれこれ触手(食指ではない)を伸ばしても一切ブレない、ある意味漢臭い一枚。
己も男根も仁王立ち! だが、裏で音色には細やかな配慮を尽くす――コレが音楽的変態紳士のあるべき姿哉。

M-01 Blow
M-02 Seal
M-03 Dead Living Things
M-04 G.I. Jane (Fill Me Up)
M-05 Orgysteria
M-06 Blood Bust
M-07 Memory
M-08 Arp #1
M-09 Pump
M-10 More
M-11 Vista
M-12 Billy
M-13 Junk Love Vision (Bonus Track For Japan)


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