SUNN O)))の片割れによる、2008年作品。
レーベルの経営で忙しいのか、相方のステファン・オマリーのように次々とサイドプロジェクトを組んでいられないグレッグ・アンダーソン。でも湧き上がる音楽表現の欲求は抑え切れないようで、オマリー抜きの別働隊としては2007年のBURIAL CHAMBER TRIO(LPのみリリース)に続く、待望のアルバム。もちろん自身のレーベルより発表。自家生産の極み。
相方は二十年来の付き合いであるギタリスト、ジェントリー・デンズリー。意外にも競演は初となる。アンダーソンも「組むならこいつ」という思いがあったろう。
サポートとしてトロンボーンやらを担当するスティーヴ・ムーア(元EARTH)と、ドラムのアンディ・パターソンがほぼフル出場。後はキム・セイル(SOUNDGARDEN)、アッティラ・チハー(MAYHEMや、件のBRIAL CHAMBER TRIO)などの顔馴染みがちょぼちょぼと。
L.A.、ソルトレイク、地元・シアトルと、三ヶ所のスタジオで四回に分けて録られており、シアトルでの録音はこの界隈常連のランドール・ダンが担当している。
まあどうせ、ぶーんと、ぎゃぎゃーんと、どろーんと、ギターが無展開に音を持続させて揺らぐ類の音楽演ってるんだろ? と思われては敵わない。
確かに曲展開の妙など望むべくもない。そこで、きちんと曲の盛り上がりである〝山〟を明確に取り、それを堪能する上での焦らしや引き伸ばしにも心血注いだスケールの大きい重低音楽に仕上がっている。
その盛り上がりを増幅させているのが、献身的に重低音の底上げをするパターソンのドラム(加えてソルトレイクでのレコーディングエンジニアも)と、耳を奪われる派手な装飾音を嫌味なく捻り出すムーアのトロンボーンだ。
もちろんデンズリーとアンダーソンが食われている訳ではなく、その活躍を受けて黒光りしてこその核二人のフレーズワークなのだから、コラボレーションとは美しきかな。
オトモダチ同士の内輪騒ぎのように見えて、実は適材適所を重視していたり。
曲の立ち上がりでぐわーっとした高揚感を得られる点から、SUNN O)))やらEARTHやらのフィードバック垂れ流しドローンノイズ系統が無理な方にも、本作は割と取っ付きやすい創りになっているのではないかと。
ぜひともこの静と動の狭間で蠢く魔物を堪能してもらいたい。
とは言え、ヘヴィ音楽を聴くのは耐性が必要となってくる。
筆者はここら辺の音をポストロックのような感じで聴いているのだが、如何であろう。お互い、はとこのような関係だしねえ。
M-01 The Obelisk Of Kolob
M-02 Ample Fire Within
M-03 Desert Cry (Bonus Track For Japan)
M-04 Divine
M-05 V.O.G.
M-06 Her Horse Is Thunder
M-07 Dark Matter
ジャケのデザインは言うまでもなく、オマリー。退廃美。
M-03はジャズピアニスト、McCOY TYNERのカヴァーでボートラ。おざなりにアルバム末尾へ放り投げず、きちんとアルバムの流れを担っている点で日本盤は特別扱い。
ジャケのデザインは言うまでもなく、オマリー。退廃美。
M-03はジャズピアニスト、McCOY TYNERのカヴァーでボートラ。おざなりにアルバム末尾へ放り投げず、きちんとアルバムの流れを担っている点で日本盤は特別扱い。
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