2011年10月16日日曜日
WAGON CHRIST 「Sorry I Make You Lush」
ルーク・ヴァイバートは食えない男だ。
本作はWarpからのリリースではない。友人であるリチャのRephlexでも、マイクのPlanet Muでもない。COLDCUTが所有するUKブレイクビーツ総本山、Ninja Tuneである。(本人にとっていい迷惑だろうが)〝コーンウォール一派〟と呼ばれ、アシッドサウンドを得意とする者にも関わらず、だ。
(両者とも多角化されつつあるが)片やエレクトロニカ、片やブレイクビーツを主とする英国クラブ系インディーズ二巨頭でアルバムをリリース出来る者など、この男(広義で括れば、あとDJ FOOD)くらいなモンだろう。
それが彼の評価でもあり、才能でもあると思う。
あえて断言させていただくが、彼は二十年近いキャリアの中で〝傑作〟に値する金字塔的作品を創ったことがない。(異論は認める)
その代わり、質は常にきっちり高い。失望させない手堅さがある。
どんなレーベルで出そうと、どんなクラブ系の音楽性にチャレンジしようと、どんな人と競演しようと、誰のリミックスを手掛けようと、己の色を出し切りつつ容易に軟着陸させる技巧を持つ。
だから嗜好が合えば、安心して作品に手を伸ばしても大丈夫。
芸術家と言うよりも職人に近い人だ。
でもその割には掴みどころがない。にこにこ微笑んでいるようで、心の中では何を考えているか分からないタイプの人だ。
本作はWAGON CHRIST名義の五枚目。2004年作品。
ところどころお得意のアシッド色を溶かしてはいるが、Ninjaという軒下に住まわせてもらっている以上、ややスモーキー仕立てなブレイクビーツが主である。
そんな中で、今ではほぼ絶滅した90年代後半のクラブ系ムーブメント〝ビッグビート〟っぽい曲調もあったりと、いつの間にかゾンビのように蘇るアシッドハウス好きのルークらしい時代遅れなダサカッコ良さに、にやりとする部分も。
でも、前はもっともわーっとした音像だったような気がするなあ。ちょうどTHE CHEMICAL BROTHERSやTHE PRODIGYやらが猛威を振るってた頃の作品で特に。
……あ、もしやルーク、なにげにこの名義も自分の好きなアシッド色に塗り替えようとしてるとか? ほんとに食えない奴だなあ。
M-01 Saddic Gladdic
M-02 I'm Singing
M-03 The Funnies
M-04 Shadows
M-05 Quadra Y Discos
M-06 UBFormby
M-07 Sci Fi Staircase
M-08 Sorry I Make You Lush
M-09 Kwikwidetrax
M-10 Nighty Night
M-11 Deux Ans De Maia (Bonus Track For Japan)
M-12 Loose Loggins (Bonus Track For Japan)
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