2011年10月18日火曜日

RIOW ARAI 「Device People」


2003年作、五枚目。

今回もM-01はイントロ。まるで70年代火サステーマ曲のような古臭い音で幕開け。
ならば幕引きのM-11はいつものメロディアストラック? ノンノン。
そうそうお約束に準じてくれないのがこの人。

前作で数曲あった、ぽこぽこしたスネアのファニーな音色はなくなった。いつも通り、音割れも気にせずアタックの強さ勝負。
相変わらずワンショット中心に構成する上モノも荒っぽい音が多く、音色使いがマイルドだった前作と言うよりも前々作の延長線? と一聴目の耳はそう答えるだろう。
前作の過密な音響工作は聴き手の理解を得られなかった? だから自分のトラックメイキングのメソッドを元の位置に戻したんだろうって? ノンノン。
そうそう守りに入らないのがこの人。

本作の音響工作は、前作での実験を踏まえて発生した反省点を生かして創られている、はず。もちろん彼は前作が失敗だとは更々思っていない、はず。
相変わらず上モノをぶんぶん左右にパンする。ピッチを下げてトーンを落とすコトで同じ音色に変化を持たせたりしている。前作ほど過度ではないが、副音を鳴らす位置を弄ったりも当然している。
更に本作では、この曲のこの一瞬だけしか使わない贅沢なワンショットもある。今まで以上にディレイが執拗だったりもする。M-04のように驚くほどシンプルなビートが万華鏡のようにどんどん様変わりしていく、今までとは違った凝り方も。
全ての音の意図が明確だ。

(筆者の考えた)前作の反省点とは、「罠を設置しても、はまってくれなくては効果がない」ということ、なはず。

前作の“罠”は細か過ぎた。頭を使って真剣に聴かないと気付かないくらい。(それに気付きさえすれば、以後は意識空っぽでも桃源郷なんだけどな……)
それでは工夫した甲斐がない。“罠”にはまらせるよう、あえて印象的な音を惜しげもなく捨て音に使ったり、鳴らす場所以上に鳴らし方に気を配ったり、音パーツ加工の練り具合が尋常ではなかったり。

これは聴き手に配慮した音創り、なのかも知れない。
いや、それ以上に彼の一音一音に賭ける情念やら何やらの方がびんびんに感じる。
つかもはや、筆者には本作に弄された数々の音響工作に、きちんと掴みや前振りやガイド板が仕込まれているように聴こえるのさ。コレ、どォゆうコト!?

M-01 Intro.
M-02 Break Literacy
M-03 Inner Blowing
M-04 Mode Down
M-05 Hip-Ruins
M-06 Star Trash
M-07 Funktions
M-08 Heavy Baby
M-09 Irregular Tips
M-10 Supperless
M-11 Non Fiction


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