2011年10月28日金曜日

TEAM DOYOBI 「Push Chairs For Grown Ups」


クリス・グラッドウィンとアレックス・ピヴレットからなるデュオの、初音源となるミニアルバム。2000年、英国・マンチェスターの謎ニカレーベルSkamより。

ふざけた、とぼけた名前。その看板に偽りなく、チップチューンばりのしょぼい音色で繰り広げる安っぽいエレクトロニカ。
ほんっとSkam。頭のてっぺんから爪先までSkam。
筆者はこういう音を聴くと、外で子猫を見掛けた時のようなちょっとした癒しを感じる。
何と言うかそのう……か弱き音色がちんと座り、くりくりっとしたテクスチャーで筆者を見上げて「ナーオ♪」と鳴くような、ね。
かわええのう、かわええのう。
その割にはM-01のような、ひっそりと愛らしく鳴る上モノをレイプせん勢いで突き上げるキックが軸のトラックもあったり。暴力から静謐まで、ビートの音色見本市のようなM-06もそうだろうか。意外と振れ幅が大きい。

その統制を執っているのが、グラッドウィンとピヴレットの二人――よりも、低スペックで制約のある機材(と、安いニカを発掘させたら天下一品のSkam Records?)だろう。

低機能の機材は足枷と思っていないだろうか?
確かに表現の幅は狭いが、その狭い幅を駆使して創られた良質の音楽には「こんな安い機材で~」の枕詞が付いて激賞を受けやすいメリットがある。
しかもその狭さとやらは機材面だけで、テクノから(ドラクエのように)現代クラシック風楽曲まで創れる可能性まで秘めているのだ。
無論、使いこなせなければ駄機に堕し、センスがなければダサカッコ悪い音楽扱いを受けるのは言うまでもない。

しょぼ機材、しょぼ音楽は厳しくもあり、優しくもあり。
願わくば筆者は彼らに、このスペックで精一杯続けて欲しい。この安っぽさでこの音の質(“音質”ではない)を出せる連中が、筆者の低感度アンテナでは今のところ彼らしか見つかっていないから。
もちろん、音楽は自由である。しょぼい機材で頑張って創った初期音源が売れたので、調子に乗ってそれを全部友人に融通し、新たに機材を買い直したは良いが、どうしても初期の頃のような感じが出せずに迷走し続けている誰かさんのようになっても自己責任、っと。

M-01 Push Chairs For Grown Ups
M-02 Kitten Development
M-03 Stickleback
M-04 Airels Adventure In Easter Island
M-05 Two Of Everything
M-06 Birdstrike
M-07 A Song For ______________
M-08 Spider Monkey


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