ペンシルヴァニアのエモメガネ、キース・ケニフによる2010年作。
正確には「Unreleased Vol. 1」なるタイトルで2009年三月にCD-Rとして発表された後、再プレスを経て同年十月、MP3配信の際に本タイトルに改題。翌年三月にはM-11を追加し、リマスターを施して、自身のレーベルUnseen Recordsより再発された。
本作は初出のタイトル通り、未発表曲集である。
インナーには、『2000年から2009年の間に録音された』と記載されている。彼のデビュー作が2004年であることから、彼の音楽遍歴が辿れる貴重な作品だ。
アーティストの中には、最初期音源を『恥ずかしくて聴けない!』と過去恥部扱いにするシャイな奴も多いが、彼がどういう心境で本作を蔵出ししたのかは分からない。最近録った音源も含ませているし、所属するType Recordsとの兼ね合いもあるだろうに。
やはりアウトテイク集程度のモノなのだろうか。
そうでもない。
アウトテイク集にしてはなかなかどうして、聴かせるじゃありませんか。
HELIOSは徹頭徹尾エモに振り切れた作風である。それをのっけのM-01から疑問符を打たせてくる。もわーっとしたところまではいつも通りだが、曲調がエモくない。と思ったらアコギとエレピで寂寞感を醸し出すM-02でああやっぱり、となる。
その後、自ら認めるくらいBOARDS OF CANADAっぽいトラックもあれば、ノンビートのアンビエントまである。エモさよりも耽美的な彩の強いトラックもある。作風が一貫している彼にしては、やや雑多な内容である。
やはりアウトテイク集だからであろうか。
そうかも知れない。
区別を付けるために、自己レーベルからのリリースと相成ったのかも知れない。
結論としては『蔵出しっぽい内容にして、蔵出しっぽくないクォリティ』と言ったところか。迷わず買ってお釣りが来る内容だと思う。
だが、せっかくの蔵出し音源なのだし、いつに創ったトラックなのか全曲紹介を軽くでも良いから、面倒臭がらず記して欲しかったなあと。
アメちゃんだけれども、その辺が彼も〝匿名性を重んじる〟ニカ人種なのかなあ、と。
ヒントは与えた。実際に音を聴いて各曲、どの辺に創ったトラックか勝手に推理してくれ、とな。知らんよ。
M-01 Convivium
M-02 Cross The Ocean
M-03 The Evening Walk
M-04 Bounce Dive
M-05 Every Hair On Your Head
M-06 South Tree
M-07 Friedel
M-08 Distance
M-09 Carry With Us
M-10 The Jaguar Sun
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