2011年10月26日水曜日

THE CINEMATIC ORCHESTRA 「Man With A Movie Camera」


J・スウィンスコーが統括するクラブ系ジャズ楽団の、二枚目三枚目の間にリリースした、ライヴ盤のようなサントラのような作品。2003年発表。
いきなり曖昧な説明で申し訳ないが、もう少し字数を割いて書くとこんな作品。

題して『ロシアのサイレント映画を元に生演奏してもらい、それをそっくり録音して音源化しちゃおう』企画!

ライヴ盤のようで歓声はないし、ブックレットには『ロンドンのスタジオで二日間掛けて録られた』と記載されている。要はスタジオライヴ盤、という訳。
スタジオとは言えライヴ盤。生演奏のダイナミズムはスピーカーからびんびんに伝わって来る。M-08の、中間部でドラムのルーク・フランシスと、DJ FOODの名でお馴染みのパトリック・カーペンターがせめぎ合うところなど最たる部分。
正直、3rdアルバムと名乗らせちゃえよ! と思ったくらい。

ただ、本作のように明確なコンセプトを元にアルバムを編むのではなく、一曲一曲にバンドのコンセプトを籠めてアルバムを編むのが、彼ら――いや、スウィンスコーにとってのオリジナルアルバムのあり方なのかなあ、と考えてみたり。
オリジナルならきちんと卓で創り込むだろうし。
あえてどの曲かは書かないが、生演奏ならではの(ほんの些細な)ミスも修正されずに残してあるのだから、そこら辺の生々しさを楽しむ聴き方も出来るし。
逆に、音質も(上記のようなコトを書きつつ)演奏も安定しているので、スタジオアルバムとして聴くことも出来るし。

〝企画モノ〟扱いが残念なくらいムードのある逸品。
やっぱり軸になるコンセプトがきちっと絞られた作品は強いね。

M-01 The Projectionist
M-02 Melody
M-03 Dawn
M-04 The Awakening of A Woman (Burnout)
M-05 Reel Life (Evolution II)
M-06 Postlude
M-07 Evolution (Versao Portuense)
M-08 Man With The Movie Camera
M-09 Voyage
M-10 Odessa
M-11 Theme De Yoyo
M-12 The Magician
M-13 Theme Reprise
M-14 Yoyo Waltz
M-15 Drunken Tune
M-16 The Animated Tripod
M-17 All Things

M-11(M-12、M-13)はART ENSEMBLE OF CHICAGOのカヴァー。原曲よりも都会的なアレンジが楽しめる。
それよりも、この原曲を収録したアルバム自体がフランス映画の劇伴音楽だったり、原曲のシンガー(当カヴァーはインスト)が若き頃のフォンテラ・バス婆様(声、若っけえ!)だったりと、いろいろにやにやさせてくれる仕掛けが施してある点に注目。


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