2011年11月24日木曜日

BROTHOMSTATES 「Claro」


フィンランド人、ラッシー・ニッコーの初作品。2001年作はいきなりWarpから!

本作を薦める以上、避けては通れない言葉がある。
「AUTECHREのフォロワー」
M-04のようなバッキバキでビシャンビシャンした音色を使ってしまうと、どうしてもあの辛辣な二人組の顔を想像してしまう。しかもアルバム後半になれば、今度はテクスチャー面でその色が濃くなってしまうのは致し方ないと言うか、何と言うか……。
もちろんフォロワーがどうしたと。

だが「静謐なビートと主音が寒々しさを演出する、荒涼とした電子音楽」と書けばそれほどAUTECHREの匂いがしない。不思議!

音色の織り込み方――つまりテクスチャーの方法論を変えれば、AUTECHREフォロワーから一歩踏み出せるはずなのだ。
世界一のテクノレーベル・Warpのディレクション力もあるだろうが、初アルバムでココまで堂々たる作品を創れる才があるのだから、そこら辺は克服可能と踏んだ。
M-08はクリックのようなひっそりとした味わいもあるし。M-03はCDが傷飛びを起こしたのかと思ったし。ぽつぽつキックとぴきぴき主音がスパイラル状に追い駆っこして、やがて疲れるM-10は地味ながらもかなり聴かせるし。
M-01みたいな奇妙な主音使いでアンビエントとは小癪な真似を。
全般的に、曲がある程度進んでから音色を増やしていく手段も凄くこなれている。

これだけ出来る子なのに、何で本作以降沈黙する!

やはり白日の下に晒してこそ表現。ハードディスクに溜め込むモンではない。
エレクトロニカは独りでやれるからこそ、がしがし量産すべき。誰かに似てるとか考えない。その似てる相手が思いつかないトラックを俺が組んでいる、と自負すれば自ずとストックが増えるはず。さすればいづれ自分の色とやらが見えてくる。
彼ならさしずめ……北欧の寒々しさを電子で表したような色になるかも。違っても、良質な音楽なら期待を裏切ってくれて嬉しい。

だからさあ、それを我々に聴かせてくださいよ、と! 金なら払うっ。

M-01 In
M-02 Brothomstates Ipxen
M-03 Kava
M-04 25101999
M-05 -
M-06 Mdrmx
M-07 Te Noch RP
M-08 Kivesq
M-09 Natin
M-10 Mr. Kitschock
M-11 Detektiv Plok
M-12 Viimo
M-13 Loose Fit (Bonus Track For Japan)


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