それぞれ、あちこちで課外活動も盛んな竹久圏(G、Key)と早川俊介(Ds)のヘンテコデュオ、2000年発表の三枚目。
そろそろ結成二十周年にもなろうベテランだ。
ジャケをご覧の通り、早川は高足設置のドラムセットを立って叩き、竹久はギターを弾きながらキーボードを踏み鳴らし、音を踏み均していく。
曲毎に貫き通すぺなぺなした奇妙なギターフレーズと、やたら裏を取りたがる上に前のめりな独特のタイム感で刻まれるビートと、爬虫類的声質の歌をほぼ並列に配した最小編成らしい音世界だ。各音色のジョイントに当たる低音パートをわざと配置しないことで、それぞれの音色を剥離させ、際立たせている。
歌詞はあるが、特に内容は感じ取れない。英詞なのも、声という音が乗せやすいだけだろうし、巧く乗れば日本語でも構わないと思っているはず。M-05が中国語と英語のちゃんぽんなのも歌詞の内容同様、大した意味などないはず。
時折噛ませてくるサンプリングのソースがへんちくりんなのも、変な音楽にしたいというあざとさからではなく、ごくごく感覚的なモノだろう。
つまり、感性に基づく音至上主義。
あれ? コレって今で言う“ポストロック”的な考えでしょう? しかも音像から察するに、そこから枝分かれした“マスロック”のような?
と、そんなジャンル分け云々など、聴き手側が分かりやすく解釈出来るよう便宜上付けたラベル。創り手の方はまるで気にしていない。
それよりも、今から十年以上も前にこの音を、何の迷いもなく演っている時点で『時代が彼らに追い付いた』?
いやいや、創り手の方が世間を気にしてどうするのさ。製品じゃあるまいし。
何が言いたいのさ?
短くも密度の濃いポピュラー音楽史上でたまーに出る、オーパーツのような作品に触れて『すげー! 今でも全然色褪せてねー!』と後出しじゃんけんのような追体験をする楽しみ方だってあるのさ。
それが本作のように音的に気持ち良くて、しかも混沌の坩堝に落とされて頭ぐらぐら出来るとあっては、お得感が二乗三乗されたようなモンじゃない?
M-01 Strawberry Massage (Instrumental)
M-02 Up Up!
M-03 Suicidal Noise Cafe′
M-04 Surf
M-05 Cut -我想修口下前面、前齋後面-
M-06 Fish & Tell
M-07 D.N.A+
M-08 Ohayo Death -Good By The Earth-
しかも2009年、リマスターを施し〝M-09 Made In Egypt〟を追加収録した再発盤が出たのさ。ファインドアウトレコーズってどこだよ! 広いネットの海からHPをFind Out出来ねーよ!
ちなみに原盤は(とうとう実の兄貴がCMに出るようになった)DMBQの増子真二が主宰した、ミュージックマイン傘下のNanophonica。
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