2011年11月22日火曜日

FREEFORM 「Human」


Warp Recordsでおなじみのデザイナー集団、The Desiners Republicに所属していたマット・パイクを兄に持つ、サイモン・パイクの六枚目。2002年作。
本作は言わずもがなのSkam Records産だが、自分の音源を出すためだけのプライヴェートレーベルも所有している。
その名も〝Freefarm〟……(脱力)。

はっきり言って訳の分からない、食えない人、というのが率直な感想。
ただし、実力は相当高い。
水滴の音や犬の鳴き声や口笛をサンプリングとして組み込んだり。毒々しくて可愛らしくて安っぽくて奇妙な音色を面白がって使ったり。東南アジア系の民族音楽ちっくな雰囲気を持つトラックを組む一方で、その民族楽器の音色を装飾音として、東南アジア色のないトラックに忍ばせたり。最強の音色である〝人の声〟をさまざまな部分で有効活用したり。M-14のように、こんな形でアルバムを締めくくったり。
こんな滅茶苦茶な要素を、平易な表現で平然と統合出来る時点で、それはもう。

どんな音色でも貪欲に取り込む姿勢はAMON TOBINを髣髴とさせるし、聴いてて楽しい気分にさせてくれる点はPLAIDを想起させるし、無頓着で飄々としたキャラはルーク・ヴァイバートと印象が重複する。
それなのに、これらアクの強い三者と似ても似つかぬ音楽性を持っているFREEFORMって何なの!? と、この先の文を放棄したくなっている筆者が居る。
それくらい掴めない人だ。もしかして超個性っ!?
でも自己顕示欲を全く感じないSkamレーベル。いつも通りひっそり売り出されてま。

理詰めではなく、己の感性に基づいてトラックを組み、好き勝手に音源を発表する。
――まるで自分のおもちゃ箱の中身を友人にお披露目しているかのような音楽を。
凄く羨ましい人だと思う。

M-01 Big Top
M-02 Crumble
M-03 Software Exaggeration
M-04 Human
M-05 Nylon
M-06 Stander
M-07 Mango
M-08 Rain
M-09 You Should Get Out More
M-10 Spoob
M-11 Ticataca
M-12 1 x Distant Babbling Brook
M-13 Rattle
M-14 Yum Yum


0 件のコメント:

コメントを投稿