2011年11月20日日曜日

RED SNAPPER 「Making Bones」


Warp発、英国は倫敦の人力アブストラクトバンド、1998年作の二枚目。
〝トリップホップ〟は死語!

重さよりも抜けの良さや切れ味を重視したリチャード・サイアーのドラム。やはり重さよりも曲の操縦性を重視したアリ・フレンドのダブルベース。この二人のリズム隊を軸に、乾いたカッティングで地味に支えるデイヴィッド・エイヤーズのギターが絡む三頭体制。
そこへ必要に応じて、管楽器ならではの派手な音を響かせるバイロン・ウォーレンのトランペットや、ジャングル系ラッパーのMCデット(M-01、M-06、M-09)、中音域の伸びを能くする女性シンガーのアリソン・デイヴィッド(M-03、M-08)を徴集し、本作は成り立っている。

ジャズっぽいようでその実、雰囲気を持ち込んだのみに留まる点。当時全盛を誇っていたドラムンベースちっくなボトムラインで構成されている曲もある点。時期的にMASSIVE ATTACKなどのブリストル界隈がぶいぶい言わせていた点――ゆえに、流行りの音を人力で演っているコトだけに着目されがちだった。
なのに、十年以上経った今でも古さを感じさせず、十分どころか十二分に身体を揺らせる出来になっているこの耐久性!
もちろん個々のセンスの高さもある。演奏技術もある。基礎はばっちり。
そこへ一つのジャンルに固執しない柔軟性と〝人力でブレイクビーツを演る〟という強固なコンセプトが相反せず同居出来たからこそ、年月を経て風化せず聴ける仕掛けになっているのだろうか。
おそらく〝人力ドラムンベース〟のコンセプトで演り続けたら、ジャンルの衰退と共に消滅する運命にあったかも知れない。

ただ彼ら、三枚目を切った後、編集盤を置き土産に2003年を以って解散していたりする。ほら、何だかんだで消滅してるじゃない!
いやいや、ユニットの存続とアルバムの耐久性は別。今も演っているけど、昔の音は古臭くて歯が浮くアーティストだって居るじゃない?

あえて音楽的焦点をぼかすことで生まれる効用もある。
〝ブレイクビーツを人力で演る〟という共通のコンセプトを持ち、あえてヒップホップに固執することで現在もシーンに君臨している、フィラデルフィアのTHE ROOTSと比較しても面白いバンドだと思う。

M-01 The Sleepless
M-02 Crease
M-03 Image Of You
M-04 Bogeyman
M-05 The Tunnel
M-06 Like A Moving Truck
M-07 Spitalfields
M-08 Seeing Red
M-09 Suckerpunch
M-10 4 Dead Monks

その更に後、2008年にひっそり復活。2011年には久々の四枚目をドロップするなど、今でも十分現役で演れるコトを証明してくれた。
まだだ、まだ終わらんよ!


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