2011年11月16日水曜日
SEEFEEL 「Succour」
マーク・クリフォード率いる四人組、1995年発表の二枚目。
音世界を一言で表すと〝陰鬱〟なのだろうか。
けど重くはない。重くては浮かべない。アンビエント的な背景トラックと、サラ・ピーコックの断片的でエコーがかった声が浮揚感を演出している。
まるで打ち込みのようなジャスティン・フレッチャーのドラムと、曲のど真ん中で現れたり消えたりするダレン・シーモアのベースをボトムに敷き、あちこちで装飾音を囁かせる。
物凄く聴き手を不安にさせる音だ。
のっけのM-01からイントロでもなくノンビート、という時点で本作の妖しさ極まれり。
もはや〝冥界音楽〟と称してはばからない世界。
漆黒ではなく、モノトーン。M-08のような四つ打ち曲でも荒涼とした渇きを覚える。
アルバムを聴き進めていくと、何だか幽体離脱でもしているような気にさせる。
物凄く聴き手を選ぶ音だ。
ただ、聴き手を(カッコだけでも)冥界へ導きたいから出しているようなメッセージ性は皆無で、全ての音色を〝トリートメント〟するクリフォードの望んだ音像がコレなだけ。好みさえ合えば音楽自体にそれほどアクはない。
「世界あっての音」ではなく、「音あっての世界」なのが〝ポストロックの元祖〟と謳われたバンドたる所以だろう。
もちろん終いのM-10もノンビートだ。徹底している。
主張はないが、主義はある。上辺で着飾らず、内面で戦えるよう常に己を磨いている。とてもストイックで気骨のある音だと思うのだが、イチゲンさんには『人間味を感じない音』とか評されるんだろうな。
M-01 Meol
M-02 Extract
M-03 When Face Was Face
M-04 Fracture
M-05 Gatha
M-06 Ruby-Ha
M-07 Rupt
M-08 Vex
M-09 Cut
M-10 Utreat
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿