2011年11月18日金曜日

RIOW ARAI 「Rough Machine」


2004年作、六枚目。今回はいつもとはちょいと違うぞ! 

彼は二枚目から三枚目へ移行する際に一度、音創りのメソッドにモデルチェンジを施している。なのに別人の如く変貌しないところが、常にぶれないこの人らしくもあるのだが。
さて今回は筆者が思うに二度目のメソッド変更盤である。
ならさぞかし……と思いきや、表面上はいつも通りだったりするのも、常にぶれないこの人らしくもあるのだが。
上モノはワンショットメイン。装飾音の鳴る位置を散らしまくる。ブロークンでアタックの強いビート。のっけがイントロで、締めがアンビエントなアウトロ。

ほんとに変わったの?
上記の列挙部分はあくまでトラックの枝葉。問題は根幹であり、本質。

具体的に言えば、以前は『どこのジャンルに押し込めて良いか分からないから、とりあえずクラブミュージックにしとけ』みたいな曖昧な位置取りに居た。それを生かして、比較的自由にトラックを組んでいたように思える。
そこへ、本作からヒップホップに自ら近付いた。
ただヒップホップと言っても、MCやトラックメーカーの観点ではなく、ターンテーブリストの視点でトラックを構築していると気付いた時点で、筆者のにやにやが止まらない。
本作を聴いて、筆者の脳内にはサンプラーのキーパッドを叩いている彼が浮かんでいない。それはもう、2ターンテーブル&DJミキサーだ。
まるで皿をこすっているかのような、つんのめる装飾音のぶち込み方からしてそう。装飾音を左右にパンした際、まるでミキサーの横フェーダーを振って出したような両耳の感触からしてそう。ビートや上モノと装飾音のグルーヴィーな絡みからしてそう。

装飾音の可能性を示唆した「Beat Bracelet」。効果向上を図った「Device People」。ヒップホップという様式を用いて具体化した本作――
これは焦点を絞った末ではなく、なるべくしてなった正当進化だと思う。

でもこの『RIOW ARAIの組んだトラックをDJ RIOW ARAIが回した』ようなメソッドは以前からちょぼちょぼ出しているのよね。本作のように完全に開花していないだけで。

M-01 Intro
M-02 Break Infection
M-03 Rough City
M-04 Forward Direct
M-05 Election
M-06 Magnet
M-07 Ground Heat
M-08 Glare Glance
M-09 Funky Jockey
M-10 Overtime


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