2012年3月8日木曜日

SLICK SIXTY 「Nibs And Nabs」


前職が揃ってピザ配達スタッフという、英国三人組による1998年作品。
オリジナルリリースはトリップホップ流行期に総本山・ブリストルのブレイクビーツシーンの受け皿となっていたCup Of Tea Recordsからだが、その営業縮小と共に老舗インディーズMute Records(現在はメジャーのEMI傘下)でリイシューされている。
残念ながら本作は彼ら唯一のアルバム。加えて、Cup Of Tea Records最期のアルバムリリースとなってしまった。

ブリストルといえばMASSIVE ATTACK界隈。その界隈といえば、もわーっとしているが抜けの良い音像と、湿った陰鬱さを持つブレイクビーツ。
彼らもその路線かといえば、七割方合っている。現にレーベルコンピに提供されたM-01とM-02は、陰鬱さはないもののその方向性ではある。
だがこの間の抜けたアルバムジャケットを見るからに、それだけでは収まらない空気をそこはかとなく感じまいか。

ジャケは内容を映す鏡である。それこそ固定観念なんぞよりもよっぽど信頼が置ける。

ブルースハープを使って郷愁を誘うまったり曲のM-03の次、M-04ではせっこい音色のシンセにヴォコーダーのロボ声とあほスクラッチが絡むおマヌケトラック。M-05では素人臭さがぷんぷんするミドルティーン声のラップを(わざわざゲストとして迎えてまで)フィーチャー。管楽器の使い方もあほさを助長させる。
そろそろ、ジャケでイキるあんこ体型のレスラーが可愛く見えるはずだ。
その一方で、M-04のリミックスであるM-06。ロボ声とベースラインとビートはまごうことなきエレクトロのそれなのだが、背景や装飾音にまるでそれっぽくないパーツを嬉々として織り込む小癪な真似も。M-08では当時爛熟期にあったビッグビートのオマージュ曲となっている、一手遅れな流行への迎合も。

確かにビートの組み方が一世代前の古臭さだし、トラック構成も時代遅れの感はある。だがそれすらも、アルバムを覆うとぼけた雰囲気にかかれば魔法のスパイスとなる。
むしろ今だからこそ楽しい。にやにやしながら聴こうぜ。

M-01 Hilary, Last Of The Pool Sharks
M-02 Recliner Classic
M-03 Someone Else's Square
M-04 The Wrestler
M-05 God's Own Dustmen
M-06 Dun Deal (Wrestlers Rematch)
M-07 Margo's B&B
M-08 Mungo, Return Of The Master Blaster
M-09 Bridgette's Dustman (Reprise)
M-10 The Wrestler (Radio Edit)


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