2012年3月6日火曜日

PYRAMIDS with NADJA 「Pyramids With Nadja」


カナダのスラッジ夫婦が、へんてこ五人組ハードコア風バンドとコラボった2009年作品は、Hydra Head Recordsより。PYRAMIDS側にとって、レーベルオーナー(元ISIS)の妻、フェイス・コロッチャ(MAMIFFER)加入後初の音源になる。
なお、アートワークは彼女が手掛けている。

以前紹介した通り、PYRAMIDSはアート志向が鼻に付く、狙い過ぎなくらい変なバンドだが、本作はそこまで聴き手の口角は歪まないはず
まず、相方のNADJA自体が現実主義的な曲創りを標榜するユニットであること。奇を衒わず、冒険をせず、実直に己の中の様式に忠実な音世界である、と。
次に、裏を返せばPYRAMIDSも同じイデオロギーで曲創りをしていること。奇は衒っているが、ある一定の約束事を忠実に守り通した音世界である、と。
また、このふた組は影響土壌がほぼ重なること。
しかも、その影響土壌を露骨に作品へと反映すること。
こうなるとさすがにコラボ作品。NADJAも得体の知れない若手の良いようにはさせない。

さて、以上を踏まえて出て来た肝心の楽曲は……やはり、シューゲイザーの匂いがするドローンアンビエントだった。

全て10分越えの長尺曲なのは如何にもNADJA。曲によっては響いてくる単調なバスドラのキックはPYRAMIDSの十八番。M-03のような重苦しいスラッジ味はNADJAがEARTHやSUNN O)))を介して持ち込んだ音。音世界が耽美的なのはもうPYRAMIDSそのもの。
一方、マイブラ愛を隠そうともしない部分はふた組の共通点。音が頭上から降り注ぐような空間処理もそう。
やはり非常に分かりやすく出来ている――点も一緒。

よくコラボ作品で語られる『両バンドが激しく火花を散らす~』ような空気ではない。『双方の個性が巧く溶け合った~』のも、少々違うかも。
『双方のベクトルが奇跡的に被った~』ある意味稀な競演作品。

M-01 Into The Silent Waves
M-02 Another War
M-03 Sound Of Ice And Grass
M-04 An Angel Was Heard To Cry Over The City Of Rome


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