2012年3月26日月曜日

THE BOOKS 「Thought For Food」


NYC出身だけど見るからにナードな風貌のニック・ザムートとポール・デ・ジョンのデュオ、2002年発表のデビュー盤。
オリジナルリリースはドイツのTomlabレーベルだが、2011年のリマスター再発はブルックリンのTemporary Residence Limitedからとなっている。その際、ジャケも差し替えとなった。筆者は旧盤しか持ってないし、こっちの方が好きだから古いままで良いのっ!

作風を端的に表せば、ファニーな雰囲気が持ち味のフォークトロニカ。ドラムで拍を取らず、アンプラグド楽器の生演奏に隠し味程度の電子音を振り掛けた音像は、このジャンルの第一人者・初期FOUR TETよりもフォークしている。
だがこの、もはや死語と化しつつあるジャンルの雛型かと言えば疑問符が浮かぶ。

意味の有無を問わせない、妙ちくりんな声ネタ(何で日本語の株放送が?)をコラージュばりにべたべた貼り付けたかと思えば、ザムートがゆるゆる歌ってみせたりもする。トラック構成も、脈絡ない音色がどんどん刷り込まれ、聴き手の脳内を攪拌することしばしば。
アコギはもちろん、ベースやバンジョーやマンドリンやヴァイオリンやチェロなど、弦楽器に特化してふんだんに用いる。主となるアコギも普通に爪弾いたかと思えば、指で弾(はじ)くようにかき鳴らしたり、弦を何かで叩いたり、ベースでいうスラップのような音を出したりと、鳴らし方に必要以上の工夫を凝らしている。
この音への執着心、正にナードの成せる業。

子供の心を持つ大人二人が音を用いて遊び倒す、たのしい音楽じっけん読本。
まったりムードかと思わせておいてその実、かなりはちゃめちゃ。滅茶苦茶なのかと思えば、すっきり明瞭。難読文字にもフリガナ振ってありますよ、と。
一体どっちが実体? と問われても二人、飄々とした笑みを見せるだけ。裏の裏は表。

M-01 Enjoy Your Worries, You May Never Have Them Again
M-02 Read, Eat, Sleep
M-03 All Bad Ends All
M-04 Contempt
M-05 All Our Base Are Belong To Them
M-06 Thankyoubranch
M-07 Motherless Bastard
M-08 Mikey Bass
M-09 Excess Straussess
M-10 Getting The Done Job
M-11 A Dead Fish Gains The Power Of Observation
M-12 Deafkids

でも2012年初頭、ザムーラが解散宣言しちゃったよ。悲しいね。


2 件のコメント:

  1. 解散してたんだ。。
    知らなかった・・・

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  2. ザムーラが新たにバンドを組閣したから大丈夫だお。デジョンは知らぬ。

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