2011年9月26日月曜日

CLARK 「Turning Dragon」


前回が〝CLARK、覚醒の巻〟なら、今回は〝CLARK、飛翔の巻〟。
2008年作四枚目。

CLARKのエレクトロニカ路線は「Body Riddle」で完成を見たと言って良い。
それを以後、ずーっと高純度で焼きなませばCLARKブランドは確立し、やがて数多のフォロワーを生むだろう。もちろん銀行の跡地を買い取り、装甲車を乗り回すことも出来るような多額の印税を得るだろう。
だが彼はその先人同様、型にはめられるつもりなど毛頭なかった。

演りたい音を演りたい時に創ってこそアーティスト。
誰のため? まずは自分のため。
聴き手に対して『気に入ってもらえたらいいな』程度。そんなの当たり前だろう?

本作はのっけから打ち込み全開。前作で取り入れた生音と打ち込みの融合などハナから無視! 徹頭徹尾、電子音のオンパレード。
しかも四つ打ち! BPM速め! フロアユース! クラブで踊れよおめーら!
CLARKのやんちゃな音色使いが攻撃的に研ぎ澄まされ、特に前半はドアッパー祭り。前作で惚れて付いて来たファンの度肝をまた抜いた。
掴みは上々。
ただし、それが上っ面だけのなんちゃってクラブ仕様なら『何だ、付け焼刃のイッチョカミ野郎じゃねえか』と白眼視され、一瞬でシーンから淘汰される。

だが、やはり凄いこの男。
クラブで踊るも良し、部屋でじっくり聴くも良し、といった緻密さを併せ持つ奥深い作品に仕上げてきやがったモンだから、各所から絶賛の嵐が巻き起こった。それこそ前作までの印象が消し飛ぶほどに。(筆者の中ではちっとも消し飛んでないぞ!)
しかも前作までの随所に見られた彼らしさを、本作でも〝CLARK節〟と呼ばせない程度に散りばめる余裕のある創りなのだから、この男の才は底が見えない。
とは言え、本作の前哨盤「Throttle Promoter」どころか、「Throttle Clarance」なる最初期音源で既にこのアッパークラブ路線は切ってきたカードだし、本人にとって何を今更驚くのやら……? って感じなんだろうけど。

本当にこの界隈は一所で落ち着きたがらない奴らばかり。
リチャは名義をとっかえひっかえし、ルークはあらゆるクラブ系レーベルに顔を突っ込み、トムは作風を変えるたびに言い訳を並べ(ああ、マイクってのも居たねえ……)、人々が植えつけてくる固定観念とやらからするりと身を交わし続けた。
『自分の作品に満足しきってしまうのは、いいことだとは思えないんだ。だって自分をプッシュすることを止めてしまうだろう? (ライナーより)
そう考えるとつくづく、CLARKは彼らのDNAを授かった〝WARPの申し子〟だなあと思う。

M-01 New Year Storm
M-02 Volcan Veins
M-03 Truncation Horn
M-04 For Wolves Crew
M-05 Violenl
M-06 Gaskarth / Cyrk Dedication
M-07 Ache Of The North
M-08 Mercy Sines
M-09 Hot May Slides
M-10 Beg
M-11 Penultimate Persian
M-12 Beige Afterthought (Bonus Track For Japan)
M-13 Pending Dusk Wrench (Bonus Track For Japan)

M-04では盟友・BIBIO〝I'm Rewinding It…〟からサンプリングを拝借している。あーもう、ほんとお前ら仲良いな!


0 件のコメント:

コメントを投稿