2011年9月14日水曜日

CAELUM 「Weather Report」


塚原幸太郎(WORM EATEN CONSEQUENCES)のソロ名義、初アルバム。2008年作。

安易に押し込めてしまえば“BOARDS OF CANADAフォロワー”なのかもしれないが、どうも筆者には腑に落ちない。
かと言って唯一無二の個性でもない。もわーっとした背景トラックの上にピアノなどのメロディアスな主音を立てて、ややビートを刻み気味に這わす――最近増えてきたような気がする、叙情派エレクトロニカ(略して“ジョジョニカ”……なんちて)の雛形だ。
だからといって、何の考えもなしに“フォロワー”で片付けるなんて横暴過ぎる。

CAELUMのビートは打ち込み然としている。生音っぽいパーツ(スネアとキックとハイハット)を用いてあざとくビートパターンをブレイクビーツで構成せず、テクノテクノしいボトムの音色で統一している。加えて先ほど記したように、ビートの刻みは多め。割とBPMが速めのトラックもある。
それにより、音像は現代的な空気が漂う。追憶に浸らせて聴き手のエモい部分を擽る訳ではない。ジャケのようなありのままの美しい光景を、写実的に届けてくれる。
その一方で、セオリーとしては理に適わぬ音色を擦り込む挑戦的な部分も散見する。それが巧くアクセントとして機能しているのだから、彼にとって“理に適った”音色なのだろう。このような下手すると雰囲気を乱しかねない音色をBOCは選ばない。

とりあえずコレでBOCフォロワーの線は薄められた……かな?
あえて既存のアーティストと比較するならばFENNESZが一番近いと思うのだが、コレってまた新たに○○フォロワーのレッテルを張り替えただけじゃね? と自ら気付いたので取り消し線を引いておく。

一枚目できちんと基礎工事は済ませた。
本作における筆者の率直な感想は「凄く真っ当なエレクトロニカ」なのだが、基礎がしっかりしている分、以後はいくら崩しても土台は揺るがないはず。
同じような印象で以後、大化けしたあのアーティストのようになってくれたらなあ、と筆者は切に願う。

M-01 Plural Now
M-02 Apoptosis
M-03 Trpyretic Flower
M-04 Taiyo To Ame
M-05 Corona
M-06 Her Dimples
M-07 Luna Park
M-08 Magnet
M-09 An Old Man With A Stick
M-10 White Elephant
M-11 Garden


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