2011年6月20日月曜日
THE CINEMATIC ORCHESTRA 「Motion」
ジェイソン・スウィンスコー率いる、英国発・仮想映画音楽ジャズ楽団のデビュー作。1999年にNinja Tuneレーベルより発表された。
彼らの存在で以後、Ninjaは更にジャズへと傾倒していったような気がする。JAGA JAZZISTとかLOKAとか。
さてバンド名通り、彼らの創造の源は映画である。60年代の、映像がモノクロからカラーに切り替わりそうな時期が一番フィットする音を出している。
だからこそジャズ。バンドサウンドでジャズ。しっとりとジャズ。
だが、彼らが単なる回顧主義ではないのは、バンマスのスウィンスコーが楽器を演奏しない、コンポーザー兼プログラマーという立場にある点――つまりピアノ、サックス、トランペット、ベース、ドラム、以上五名のプレイヤーが出した音をDJ視点で編集する、新しい形のジャズを標榜しているからだ。
とは言え、ジャジーな生演奏のボトムにブレイクビーツを敷き、サンプリングをがんがん噛み噛みさせる、Ninja Tuneの僚友たちのような“クラブとジャズの融合”などハナから眼中になかったようだ。
スウィンスコーは当時の映画音楽家が現代の音楽テクノロジーで編集録音したらどうなるか? を自ら実践しているに過ぎない。
だからジャズ。真っ当にジャズ。レコ屋のJazz棚に収めて欲しいくらいジャズ。
映画音楽を創るのを念頭に入れているため、音の録り方が立体的かつ映像的だ。
ヘッドフォンをして胡坐をかき、目を瞑って脳内スクリーンに思い思いの映像を映しながら聴いてみて欲しい。
M-04からM-05に至る流れは本作のクライマックスだ。そこからM-06で締めて、M-07はスタッフロール、と考えるも良し。
夜の室内BGMとして掛けてもハマるだろうが、多分M-05でビビる。
M-01 Durian
M-02 Ode To The Big Sea
M-03 Night Of The Iguana
M-04 Channel 1 Suite
M-05 Bluebirds
M-06 And Relax
M-07 Diabolus
M-08 Goatee Pt.1 [Bonus Track For Japan]
M-09 Channel 1 Suite (Live At The Barbican) [Bonus Track For Japan]
上記のM-08、M-09は2010年の再発盤で差し替え収録されたボートラ。
1999年の日本オリジナルリリース盤は“Channel 1 Suite (HEFNER Mix)”と“Ode To The Big Sea (FOUR TET Mix)”であった。
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