2011年6月26日日曜日
CRIPPLED BLACK PHOENIX 「Love Shared Disasters」
暗黒ハードコア系上がりのドラマー、ジャスティン・グリーヴスと轟音ポストロックMOGWAIのベーシスト、ドミニク・アイチソンが組んだ英国バンドのデビュー盤。2007年作。
レーベルはPORTISHEADの頭脳、ジェフ・バーロウが設立したInvada。バーロウは本作のプロデューサーも兼ねている。
インストナンバーも多いが、基本的には歌モノ。エモい声質のヘタウマヴォーカルが兼任するアコギを軸に、エモエモしい歌メロと旋律で聴き手を切なくさせる哀歌がぎっしり詰まっている。ヘタウマくんの他に、バリトンヴォイス担当のシンガーも居る。
ドラムのグリーヴスが首魁のバンドだが、彼の経歴であるIRON MONKEY、ELECTRIC WIZARD、TEETH OF LIONS RULE THE DEVINEなどからは想像出来ない感傷的な音である。どちらかと言えば、(曲創りには参加していない)アイチソンが在籍するMOGWAIを髣髴とさせる部分の方が強い。
もしグリーヴスがビッグバンドにどっぷりと浸かったミュージシャンなら、この音は聴き手の固定観念によって無情な不当評価を受けていたかも知れない。彼がフロントマンではなく、腰掛け気質の渡り鳥ドラマーだったことも幸いしている。
固定観念は創造の足枷である。
この音を前にして「ンだよ、スラッジコア演れよ」なんて言う輩も居るまい。
ただ、頭を垂れるほど音世界が暗い。これだけでも結構な足枷である。
世の中には音楽を聴いて鬱になりたくない者の方が圧倒的に多い。こればかりは好みの問題で、固定観念云々の話ではない。
だとすれば逆に、このバンドのキーマンは全作曲を手掛け、ドラム以外にもいろいろ楽器を弾きたがっているグリーヴスなどではなく、〝ヘタウマくん〟ことシンガー兼アコギ奏者のジョー・ヴォルクなのかも知れない。
彼が歌で嘆けば嘆くほど、このバンドの音は説得力を増してくる。その一方で、説得力が増せば増すほど足枷の錘が重くなる。
ジャケット通りの夕暮れが、夜の闇に満たされちまえば良いんだ。
……ごめんなさい。コレ、単なる筆者(厨二病患者)の希望だわ。
M-01 The Lament Of The Withered Mercenary
M-02 Really, How'd It Get This Way?
M-03 The Whistler
M-04 Suppose I Told The Truth
M-05 When You're Gone
M-06 Long Cold Summer
M-07 Goodnight, Europe
M-08 You Take The Devil Out Of Me
M-09 The Northern Cobbler
M-10 My Enemies I Fear Not, But Protect Me From My Friends
M-11 I'm Almost Home
M-12 Sharks & Storms/Blizzard Of Horned Cats
この筆者認定キーパーソンであるジョー・ヴォルク、実はInvadaから「Derwent Waters Saint」(2006年作)なるソロアルバムを出している人で、GONGAというストーナーロックバンドにも所属していた奇妙な音楽経歴の持ち主。
ちなみに、そのアルバムのプロデューサー兼エンジニアはPORTISHEADのギタリスト、エイドリアン・アトリー。
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