インダストリアルロックの異端児・GODFLESHで名を馳せた多作家、ジャスティン・ブロードリックによるメインプロジェクトの一枚目。2004年発表。
このユニットを語る上で、一人の重要人物の名を挙げなくてはならない。
テッド・パーソンズ――音楽シーンに(ブロードリックにも)多大な影響を与えたSWANSのメンバーから、ニューメタルの先駆者バンドPRONGへ。その解散を見届け、GODFLESH後期以降、ブロードリックと盟約を結ぶ敏腕ドラマーである。
その彼は現在、ノルウェイはオスロに住んでいる。家庭があるのでライヴツアーは単発しか参加しない(普段は地元でドラム講師をしているそうな)。本作のレコーディングもオスロのスタジオで録られている。
――ただし、ドラムトラックだけ。
しかも現地のエンジニアを使って。他のパートやミックスダウンなどは全て、ブロードリック所縁のスタジオで。
この奇妙なコラボレートのキモとは、ブロードリックがパーソンズに最大級の敬意を払い、ビートに関しては全てパーソンズの感性に一任している、という点だ。
数多のプロジェクトを抱えるブロードリックは意外にも、何でも一人で演りたがるコントロールフリークなどではない。参加メンバーの個性を尊重し、自らはそこから音楽的な何かを得ようとする柔軟な考えの持ち主なのだ。
さて内容。スラッジ的とも言える粒の揃わない重苦しいギターリフを聴き手の両肩に背負わせ、輪郭のくっきりしたドラムの先導の元、のろのろと漸進する。
まるで苦役のような音世界だが、そこには微かに希望の光がある。
時折、天から射し込めてくるような神々しいシンセサイザーの音である。
美と醜、楽と苦、聖と邪を曲単位で同居させることによって、JESUは唯一無二のプロジェクトとなった。
本作では多々GODFLESHを引きずっている部分もあるが、明らかにGODFLESHにはない彩を主軸にしている。そのため、時は既にJESUへと移り変わっているのだ! と胸を張れる楽曲構成だ。
本作はISISのリーダー、アーロン・ターナーのHydra Head Recordsからのリリースで、アルバム装丁はそのターナーが受け持っている。(この界隈の人はCONVERGEのジェイコブ・バノンといい、SUNN O)))のステファン・オマリーといい、退廃的で優れたデザインセンスを持つ者が多い)
ちなみにその素材である写真はブロードリックが撮っている。
Disk-1
M-01 Your Path To DivinityM-02 Friends Are Evil
M-03 Tired Of Me
M-04 We All Faulter
M-05 Walk On Water
M-06 Sun Day
M-07 Man/Woman
M-08 Guardian Angel
Disk-2 (Bonus Disk For Japan)
M-01 Your Path To Divinity (Endless Path)
M-02 Friends Are Evil (Highest Throne)
日本盤のみ二枚組仕様。コレでしか聴けない特別なリミックスだよ!
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